三菱電機は2015年度第1四半期の連結決算を発表。FAシステム事業と自動車機器事業で構成される産業メカトロニクス部門が過去最高の営業利益となるなど好調を持続し、全体の業績をけん引している。
三菱電機がこのほど発表した2016年3月期(2015年度)第1四半期(4〜6月)連結決算は売上高が9884億円と前年同期比9%増加した。「その他」部門を除く5つのセグメントで前年実績を上回った。営業利益は産業メカトロニクス部門が四半期ベースで過去最高を更新する428億円を記録したものの、重電システム部門、家庭電器部門の減益幅が大きく、全体では同8%減の546億円となった。
なお、為替変動による売上高の影響額は約540億円増(内訳は米ドル約260億円増、ユーロ約30億円増)とする。また、海外売上高比率は海外市場向けが為替の影響もあり前年比15%増となったことから、49.5%と同2.7ポイント伸びた。
セグメント別の状況を見てみると、重電システム部門では社会インフラ事業が国内の交通事業およびスマートメーターや変電案件など国内外の電力事業が増加し、受注は前年を上回ったものの売上高は前年度並みで推移した。ビルシステム事業は昇降機新設事業が、円安の影響により増加。部門全体では2366億円(同6%増)となっている。営業利益は案件の変動や電力事業の採算悪化により、同114億円減少し66億円の赤字。採算悪化の要因については、国内の電力事業で採算が厳しい案件がある点と、電力小売り自由化のためのシステム構築のコストが膨らみ、その引き当てを追加計上したためとしている。
産業メカトロニクス部門のFAシステム事業は、スマートフォン関連の中国向け売上高が横ばいとなる中で、国内外の自動車関連の設備投資や国内の設備更新事業の増加、液晶関連の増加や円安の影響もあり増収となった。自動車機器事業も国内向けは減収となったものの北米向けの電装品や北米・欧州向けのカーマルチメディアが伸びたことなどで増収を記録。部門全体で3283億円、同11%増と2桁伸長した。営業利益も売上高増加により、同77億円増の428億円となっている。
情報通信システム部門では通信システム事業が通信インフラ機器の落ち込みで減収となったが、電子システム事業で宇宙システム事業の大口案件の増加などにより、売上高は954億円、同3%増となった。営業利益はほぼ横ばいの17億円の赤字。電子デバイス部門は電子デバイス事業でパワー半導体が大口案件の計上や、通信用光デバイスなどの増加に加え、円安の影響もあり、売上高は661億円、同29%増と大幅伸長を記録した。営業利益も売上増加により同84億円増の123億円となった。
家庭電器部門は国内向け家庭用空調機器の増加に加え、円安の影響もあり売上高は同8%増の2540億円に達した。しかし、営業利益は価格低下などで同50億円減少し162億円にとどまった。
空調機器は北米・欧州で伸び悩んだものの、ASEAN、中国向けが伸び、国内の家庭用も前年を上回った。営業利益については、北米市場でダクトレスタイプへの参入メーカーが増え、2014年末から価格競争が厳しくなり価格が低下した点や、欧州で販売強化を目指し増やした人件費などの営業費用の増加などが要因となり減益となった。太陽光発電システム事業はメガソーラー関連が約半分に落ち込んだ。住宅用は10%強の増収となっているものの、全体的には売上高は減少した。2015年度の見通しについてもメガソーラー関連は厳しい状況が続くと見込む。
今期の連結業績については「第1四半期の連結決算では営業利益は減益となっているが、受注に関してはFAシステム、自動車機器がいずれも前年同期を上回っていることなどを踏まえて、上期、通期とも変更はしていない」(三菱電機 常務執行役 松山彰宏氏)としており、2016年3月期(通期)は売上高4兆3700億円(同1.1%増)、営業利益3千200億円(同0.8%増)の予想を据え置いている。
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