SAPは、同社のユーザーイベント「SAP SELECT」において、記者会見を開催。日本におけるIoT(Internet of Things、モノのインターネット)およびインダストリー4.0の実現を支援する共同研究開発センター「SAP Industry 4.0 Co-Innovation Center powered by COIL Tokyo」を開設する。
SAPは2015年7月1日、同社のユーザーイベント「SAP SELECT」において、記者会見を開催。同社の方針を紹介するとともに、日本においてIoT(Internet of Things、モノのインターネット)およびインダストリー4.0の実現を支援する共同研究開発センター「SAP Industry 4.0 Co-Innovation Center powered by COIL Tokyo」を開設したことを発表した。
IoTを活用しモノづくりを革新する産官学の共同プロジェクト「インダストリー4.0※)」が大きな注目を集めている。また、米国ではIoTの産業実装を進めるために民間コンソーシアムである、インダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)が活動を進めており、多くの日本企業の参加も進んでいる。
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SAPはドイツに本社を置き、インダストリー4.0の中核企業の一社である一方、米国のIICにも加盟するなど、IoTを活用したモノづくり革新を積極的に支援しているが、新たにこれらの実績や得た取り組み事例を共有し市場や業界特有の要件に適したソリューションを提供するために共同研究拠点として「SAP Industry 4.0 Co-Innovation Center powered by COIL Tokyo」を設立することを決めた。
SAP Industry 4.0 Co-Innovation Center powered by COIL Tokyoは、ドイツ本社の研究開発部門の直轄組織である「Co-Innovation Lab Tokyo(COIL Tokyo)」内に開設される。SAPが抱えるIoTやインダストリー4.0に関する最新情報を提供するととともにソフトウェア開発事例などを紹介する。またCOILパートナーのエコシステムなどを活用し、実際の導入に向けたPoC(Proof of Concept、機能検証)も迅速に行える。さらにグローバル展開なども支援するとしている。
SAP SE エグゼクティブボードメンバー プロダクト&イノベーション担当のバーンド・ロイケ(Bernd Leukert)氏は「日本もドイツも製造業が強みを持つ。実際の問題などをより深く理解し、研究開発するパートナーシップを構築しともに成功モデルを作っていく」と述べている。
SAPの戦略として、ロイケ氏は「3つの取り組みを推進する。1つ目が、既存のコアビジネスの効率化などを新たなアプリケーション提供で進めること。2つ目が新しいビジネスを創出すること。3つ目が『つながる世界』による新たな形の創出だ」と語る。
インダストリー4.0の世界を実現するには標準化への取り組みが欠かせないが「新しい時代だと標準はない。まず個別のプロジェクトを対応していく。1つの企業のための1つのプラットフォームを提供する。そのプラットフォームをオープン性を持ったものにしていく。また、各企業が標準化を進められるように議論を促していきたい」とロイケ氏は述べている。
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