司会 ――ウロボロスのときは、どのように設計を進めていったのでしょうか?
中村さん 当時は某社の2次元CADを使っていました(笑)。で、その図面を根津くんに見せると、簡単にそれを3次元にしてデザインを始めていくんですよね。実際、3次元表示されたものだと、具体的なコミュニケーションもとれるようになってきました。もちろん2次元は2次元で良さはあるんです。しかし、Alias(3次元ツール)の凄さを感じた瞬間でもありましたね。
司会 ――ただ、実際は根津さんは3次元で、中村さんは2次元でウロボロスを設計していったのですよね。3次元と2次元とのギャップがあったと思いますが、その辺の苦労はありましたか?
根津さん そうですね。残念だったのが、僕は中村さんからもらった2次元データを3次元データ化してから作業して、中村さんに戻す際に再度2次元図面化していたんですよ……。
中村さん 思い返すと結構ムダなことしていましたね(笑)。それに、電話ではよく危ない会話もしました。私は、ずっと2次元で設計してきた人間で、ドラフターで図面を描いていたんです。それが2次元CADになったときに、「線がウソを付かない!」とその進化に驚かされました。
作図の際、原点を決めて図面を引いていくわけですが、根津くんと設計について電話で議論する際、「原点はどこ?」と聞いたんですよ。そうすると根津くんから「原点ですか? うーん。原点はいっぱいある……」みたいな答えが返ってきて困ったことがありました(笑)。
根津さん 中村さんが言っている原点と、僕が言っている原点は絶対に違うだろうなと(笑)。
中村さん で、「じゃあ、分からないからドライブシャフトのところを『0』にして、そこから『X:20、Y:−20」のところに8mmの穴を開けたいんだけど、デザイン的に問題ないよね?」と聞いてみるんです。
根津さん それ聞いて、中村さんのいっている「X」って何? ってなるわけですよ(笑)。部品が立っているのか、寝ているのか分からないんですから。そういう意味でかなり危ない会話をしていましたね。多分こうだろうなという感じで対応していましたよ。
中村さん 根津くんは機械モノをよく知っているので、そんなに心配はなかったんですが、一歩間違えたら大ゲンカで終わっていたかもしれませんね。
根津さん ホントに! お互い人のせいにして終わっていたかもしれませんよね(笑)。
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