ボード線図を使って過渡応答と周波数応答を求める無償ソフトで技術計算しよう【制御工学応用編】(1)(1/3 ページ)

【制御工学応用編】では、制御系の応答性や安定性を評価する方法とPIDコントローラーの設計について説明する。今回は、過渡応答と周波数応答について取り上げる。

» 2015年06月17日 10時00分 公開
[伊藤孝宏MONOist]

 【制御工学応用編】では、制御系の応答性や安定性を評価する方法とPIDコントローラーの設計について説明します。今回は、過渡応答と周波数応答について説明します。

過渡応答と周波数応答

 図1はバネ・マス・ダンパ系で、図2は図1の系に周波数0.5Hzと1Hzで周期的に変動する荷重を与えた場合の変位を示したものです。

図1:バネ・マス・ダンパ系
図2:バネ・マス・ダンパ系の周期的加振に対する応答

 下記のex506.mで計算しています。詳しくは【シミュレーション応用編】(3)をご覧ください。

clear;c=1;k=10;m=1;fr=[0.5,1];
for n=1:2
dydt=@(t,y) [y(2);(sin(fr(n)*2*pi*t)-c*y(2)-k*y(1))/m];
[t,y]=ode45(dydt,[0,20],[0;0]);
subplot(2,1,n);plot(t,y(:,1));grid('on');
xlabel(['Frequency=',num2str(fr(n)),'[Hz]']);
ylabel('Height[m]');ylim([-0.4,0.4]);
end
ex506.m

>>「ex506.m」ダウンロード

 図2を見ると、最初の変動の後は、一定の変動となることが分かります。例えば、図2下段の1Hzでの変位は、最初は大きく、その後は規則正しい変動となっています。この最初の変動が自由応答と呼ばれ、システムの初期値や特性(この場合、m、c、kや初期変位など)に依存します。自由応答の特性を調べるのが過渡応答です。過渡応答には、幾つか種類がありますが、ここでは、インパルス応答について説明します。一方の自由応答の後の規則正しい変動は、強制応答と呼ばれ、強制力(この場合、周期的荷重)に依存します。強制応答の特性を調べるのが周波数応答です。

 さて、図2で強制応答の振幅に注目すると、荷重の周波数により異なることが分かります。また、周波数が2倍の関係にあるにも関わらず、振幅の山と谷の位置がずれていることも分かります。このように、強制応答は与えられた強制力の周波数により、振幅や位相が変化します。周波数の変化に対する応答を調べるため、強制応答の特性については「周波数応答」と呼ばれています。では、図1に示すバネ・マス・ダンパ系を例に、インパルス応答、周波数応答を求めてみます。参考に、図1のバネ・マス・ダンパ系の伝達関数を下記に示します。


 伝達関数とその求め方は【制御工学基礎編】(2)を参照してください。

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