サイバネットが開発した「立体フィギュア認識ARアプリ」がタカラトミーアーツのAR対応カプセル玩具(ガチャ)の新製品「松本人志 世界の珍獣 第1弾」に採用された。今後はこの技術を製造業向け製品にも利用していきたいとのことだ。
サイバネットシステム(以下、サイバネット)は2015年6月11日、無償汎用ARブラウザ「Junaio(ジュナイオ)」(開発元はMetaio)を利用したスマートフォン向け「立体フィギュア認識ARアプリ」を開発したと発表した。同アプリは3次元形状認識技術と音声再生技術を組み合わせたもので、小さくて複雑な3次元形状を認識することが可能だ。Junaioはバーチャルマネキンやデジタルサイネージなどに活用されてきた。
同社は今回のアプリがタカラトミーアーツのAR対応カプセル玩具(ガチャ)の新製品「松本人志 世界の珍獣 第1弾」に採用されたことも公表した。同製品はタレントの松本人志氏の中だけにいる架空の生き物を具現化したカプセル玩具だ。スマートフォンを生き物のフィギュアにかざすことで鳴き声を聞くことが可能だ。その機能をサイバネットの3次元立体形状認識技術で実現している。
Junaioをインストールし起動したスマートフォンでカプセルに同梱されているミニパンフレットの画像にカメラをかざしてから、パンフレットに指示がある通りの向きでミニフィギュアにカメラを向けることで鳴き声が再生される仕組みだ。JunaioはGoogle playかApp Storeから無料でダウンロードできる。
なおJunaioは2015年12月15日をもってサービスを終了するとMetaioより発表されており、ARブラウザについては今後変更の可能性があるとのことだ。
「Junaioの開発元であるMetaioが提供している開発キットには3Dトラッキング機能が含まれているが、実際には複雑な形状の3次元モデルを認識するのは大変難しい。特に今回の対象物はさまざまな形をした『空想の珍獣』たちである。そのいずれの形でも問題なく認識し、音声を出すためには、ARの知識と過去の経験に基づいた開発ノウハウが必須となった」(同社)。
同社が強みとしてきた製造業向けシステムにも今回の技術を活用しようと検討中だという。例えば、製造現場の組み立てマニュアルで、部品にタブレット端末などのカメラをかざすと、その画面にインストラクションが表示されるなど、立体形状認識を利用した機能の提供を考えているそうだ。
サイバネットは2005年にクボタの子会社で可視化技術を得意としていたケイ・ジー・ティーの株式を取得し子会社化した後、2010年にケイ・ジー・ティーを吸収合併した。同社が提供していたデータ可視化ツール「AVS」は現在サイバネットが取り扱っている。
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