トヨタ生産方式は、大きく2つの考え方から成り立っています。1つが「工程異常の発生時には製造ラインを惜しげなく停止させて問題解決に取り組む」というもので、これは「自働化」とよばれる考え方です。なぜ「自“働”化」なのかは後述します。そしてもう1つが「生産のあらゆるムダを減らして停滞なく生産させる」という、つまり「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」という、「ジャスト・イン・タイム」の考え方です。
RPGで遊んでいても、何か問題がある時にはポーズを押して、プレイを止めたりしますよね。これは時間を止めずにプレイし続けると、さらに問題が悪化すると考えたために一度中断するという対処しているのだと思います。トヨタ生産方式における「自働化」もこれと同じ考え方です。
また、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」というのも、各キャラクターが持つアイテムを状況に応じて必要に切り分けていることと同じなのかもしれません。
トヨタでは「自動化」ではなく、ニンベンのついた「自働化」という言葉を使います。トヨタのHPでは、「自働化」について以下のように説明されています。
「自働」とは、機械に善し悪しを判断させる装置をビルトインした機械であり、「自動」は動くだけのものです。機械を管理・監督する作業者の動きを「単なる動き」ではなく、ニンベンの付いた「働き」にすることが「自働化」を意味します。
「異常があれば機械が止まる」ことで、不良品は生産されず、ひとりで何台もの機械を運転できるので、生産性を飛躍的に向上させることができました。
※トヨタ自動車HPより2015年5月11日に引用
自働化を行うためには、異常が起きた部分をすぐに把握できなければなりません。直ちに対処しなければ、ラインを止めている影響が他にも広がってしまいます。そのためトヨタでは異常表示盤のシステム(アンドン)を設置し、生産工程の異常がひと目で分かる仕組みを構築しています。これが本連載の第1回で説明した「目で見る管理」でもあるのです(関連記事:RPGをクリアするまでのプロセスと生産管理)。
RPGをプレイしていてモンスターから攻撃を受けてHPが少なくなると、画面が赤くなって危険が通知されますよね。アンドンはこれと同じ役割を担っているといえるかもしれません。もし赤くならなかったら危険度が分からないため、そのうち倒されてしまいますよね。
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