では、各階層の人は組織運営を考える際に何を目標とするのでしょうか。当たり前ですが、1つ目の「経営層」は会社全体のことを考えます。「会社としてどうすれば最も利益をあげられるか」といったことなどです。この場合、一部の部門は非効率であっても、そのおかげで全体を通してみると「最も効率が良く利益率もよい」ということがあるかもしれません。こうしたことを踏まえて、組織全体の経営戦略を策定していきます。
2つ目の「ミドルマネジメント層」では、経営層が策定した経営戦略を、自分の管轄する部門の社員たちが具体的な行動に移せるよう個別目標に落とし込んでいきます。しかし、ここで各部門が自分たちの部署のパフォーマンスだけを最大限に発揮することを考えると、場合によっては全体戦略から外れてしまう可能性があります。ここに以前説明した「つくりすぎのムダ」が生じる要因が隠れているのです(関連記事:RPGをクリアするまでのプロセスと生産管理)。
3つ目の「現場層」では、良かれと思い最大限のパフォーマンスを発揮しようとしがちです。例えばここぞとばかりに目の前の敵を倒すことばかりに注力してしまい、ダンジョンから人質を救出するという本来の目的を忘れてしまっては意味がありません。ミドルマネジメント層は、現場層の動きが全体戦略から外れないよう、適切に現場に説明を行っていく必要が生じます。そうすれば、現場の人たちもモチベーションを下げることなく会社の戦略に沿って動けるのではないでしょうか。
しかしこうした組織の全体戦略と各階層の行うべき業務を正しく関連付けることや、上から下への縦の関係に沿った円滑なコミュニケーションを実際に体現するのは難しい面もあります。そのため、こうした取り組みの質が企業の競争力の差になっていると思います。
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