特集
» 2015年05月20日 10時00分 公開

民間航空機産業へ参入するために考えるべきこと「INTERMOLD 2015」特別セミナーリポート(2/2 ページ)

[加藤まどみ,MONOist]
前のページへ 1|2       

製造では自動化が進む

 新機種開発の動向としては、以前のキーワード「より早く、より遠くへ」から「より安全に、より経済的に(+環境に優しく)、より快適に」に移行していると榊氏は述べた。

 榊氏はそれらを実現するための革新技術についても紹介した。開発が進められている次世代材料の1つが熱可塑性素材である。将来は現在使用されている熱硬化性素材に代わるだろうという。熱可塑性素材の方が取り扱いやすく、リサイクルもしやすいためだ。エンジン回りでは、耐熱材、特にセラミック基複合材料(Ceramic Matrix Composites:CMS)が次世代材料として使われているという。

 生産技術については国内外問わず、「自動組み立て」が近年の流れだという。飛行機の生産ラインは自動化が難しいものの、コスト低減の面から自動化は必須になっている。川崎重工もボーイング777Xの製造に対応するため、加工専用ロボットなどを導入した省力システムに約250億円を投資する。また高性能熱可塑材用ホットプレスや3Dプリンタなどの新生産技術も採用されている。3Dプリンタは一部エンジン部品に使われ始めたが、主要部品に使うにはまだ課題が多いということだ。ただ複合材も30年前には問題が多いと考えられていたが、現在は当たり前に使われている。3Dプリンタも10〜20年経てば普通に使われているのではないかと榊氏は述べた。

流れは「完成部品を納入」

 三菱重工や川崎重工などのいわゆる“川下企業”にとっては、ある程度注文の先が見えている。そのため、受注している分の生産性をいかに向上するかが重要になる。特に品質も納期も改善されている新興国とのコスト競争はますます激しくなる。また今後はモジュール化が必要になってくるのではないかという。機体部位では内装まで取り付けるスタッフィング化、エンジンであれば単体部品からユニットごとに完成したモジュール化での納品が進むだろうと榊氏は言う。

 また中小企業については、航空産業に参入しようという産業クラスタが全国に多くできているものの、なかなか思わしい成果は上がっていないという。その原因は機体メーカーがある程度、一貫生産での納品を求めているからである。

 そのため従来のように機械加工、熱処理、表面処理などをばらばらに受注する形ではなく、材料の購入から塗装まで全てを行った1つの製品を納める体制の構築が必要になる。これはなかなか中小企業だけでは難しく、もう少し国の支援も必要なのではないかとのことだ。

 実際にMRJも完成部品を購入している。例えば日本で作れると思われるようなドアやフラップなども、台湾やヨーロッパ、アメリカなどの企業に発注しているという。MRJの国産化率は3分の1程度であり、この比率が上がればそれだけ国内航空産業の市場が拡大する。「課題は多いが、各地で出来た産業クラスタが連携して、得意部門を組み合わせれば一貫生産できる」と榊氏は述べた。また一貫生産ができるようになれば、海外航空機メーカーからの受注にも挑戦できる。そのためにも完成した部品を提供できるようになることが重要だということだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.