太陽誘電は、医療機器設計/製造の展示会「MEDTEC Japan 2015」において、同社が開発したインテリジェント圧電圧力波センサー「AYA-P」を使った脈波計測への適用事例を紹介した。加速度脈波の波形をリアルタイム計測できるので、血管年齢の測定が容易になるという。
太陽誘電は、医療機器設計/製造の展示会「MEDTEC Japan 2015」(2015年4月22〜24日、東京ビッグサイト)において、同社が開発したインテリジェント圧電圧力波センサー「AYA-P」を使った脈波計測への適用事例を紹介した。
AYA-Pは、センサーデバイスとなる高感度の圧電素子に、高性能計装アンプやプログラマブルゲインアンプ、A-Dコンバータ、Bluetooth Low Energy(BLE)を用いた無線によるデータ転送といった回路を組み合わせたセンサーソリューションだ。今回の脈波計測への適用事例では、A-Dコンバータの分解能は12ビットとなっている。
脈波計測では、パルスオキシメーターという装置を使うのが一般的だ。パルスオキシメーターは、血液中のヘモグロビンによるLED光吸収量を計測し、その変化から脈拍を検出する非侵襲の検査装置だ。脈拍を2回微分すると、加速度脈波を算出することができる。この加速度脈波には、血管壁の硬さ情報が含まれており、血管年齢などを測定することが可能だ。
今回のAYA-Pを使った脈波計測では、この加速度脈波の波形を「極めてクリアかつリアルタイムに計測できる」(同社の説明員)という。これは、圧電素子によって、血管壁の振動そのものを直接検出しているためだ。脈拍を2回微分するパルスオキシメーターによる加速度脈波の波形よりも分解能が高く、直接検出なので2回微分のような手間が不要になりリアルタイム計測も可能になる。
さらに、センサー部がパルスオキシメーターよりもはるかに小型なので、体に長期間装着しても負担が少ない。展示では、圧電素子を中央に配置したマジックテープを指に巻くだけで、加速度脈波をリアルタイムで計測することができていた。圧電素子以外の回路は単四電池2本とともにモジュール化されている。計測データは、BLEを介してAndroid端末にリアルタイムで送信している。
消費電力が少ないことも特徴の1つ。LEDを用いるパルスオキシメーターの消費電力はmWレベルだが、AYA-Pでは圧電素子のセンシングの消費電力がゼロのため消費電力はμWレベルで済むという。
圧電素子を装着している指や腕を動かすと大きなノイズが入るという課題があるが、展示デモのAndroid端末には、そういった外乱への対策アルゴリズムと、加速度脈波から血管年齢を測定するアルゴリズムを実装したアプリが搭載されていた。「このアプリをベースに、大学病院との臨床試験を準備しているところだ」(同説明員)。
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