顔の画像からリアルタイムに脈拍を計測する技術を富士通がCEATECで紹介。体に機器を装着(ウェアラブル)せず“無意識のまま”で、脈拍がずっとモニタリングできるのが特徴だ。
CEATEC JAPAN 2014(CEATEC 2014)の富士通ブースでは、顔の画像からリアルタイムに脈拍を計測する技術を参考出展していた。
同技術は2013年3月に富士通研究所が発表したもの(参考記事「スマホの内蔵カメラで脈拍を計測、顔を5秒間撮影するだけ」)。モニタ横に設置したカメラで撮影した顔画像のわずかな輝度変化から脈拍を抽出できるという。脈拍測定に必要な時間は顔認識も含めてわずか5秒だ。
「人間の顔には無数の血管が流れている。心臓の鼓動とともに血流の流れが脈動しているのだが、それに応じて顔の吸光度合(光を吸収する割合)が変わる。それを明るさの変化として検出している」(同社)。
医療/ヘルスケア分野におけるウェアラブル機器の活用で課題なのが“装着感”と“測定するという意識的な動作”。毎日欠かさずデータを集めるためには、これらの課題がわずらわしさとなって結局続かなくなる。
今回の技術はこうしたバイタルチェックのわずらわしさを払しょくし、ユーザーが意識せずに1日中脈拍をモニタリングしようというものだ。
「体に装着(ウェアラブル)しなくても計測できるというのは、究極のウェアラブル。例えば、テレビを見ている時間やパソコンに向かっている時間、画面に集中しているため顔はほぼ止まった状態になる。その間、ずっと脈拍のモニタリングが行われていく。会社のパソコンに搭載すれば、社員一人ひとりのバイタルチェックが1日を通じて行え、脈拍の変化からストレスや健康状態を把握できるようになる」(同社)。
この技術は普及へのハードルが低いのも特長だ。脈拍抽出に高性能なマシンスペックは必要なく、顔の撮影も一般的なWebカメラで行える。組み込み機器化してテレビやPCモニタに低コストで内蔵してしまうことも可能だ。
ビッグデータ時代では、脈拍だけでなくあらゆるデータのログをためていくことで、新たな活用が見えてくる。この技術によって何万人もの脈拍が集まれば、そのビッグデータを解析することで新しい発見が出てくるだろう。
「技術的には既に確立しているので、すぐにでも実用化できるテクノロジー。いろいろな応用が考えられるが、現在、富士通の中でソリューションとして提供することを検討している」(同社)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.