「CEATEC JAPAN 2014」では、ヘルスケア向けの測定機器やシステムだけを展示するデジタルヘルスケア・プラザが設けられている。同エリアでは、鼓動の音から脈拍を測定する指輪型活動量計や、活動量計を出退勤の記録代わりに使うなど、さまざまな製品が紹介された。
「CEATEC JAPAN 2014」のデジタルヘルスケア・プラザでは、さまざまなヘルスケア製品/システムが展示された。
ヘルスケア関連のアプリ開発を手掛けるエムティーアイ(MTI)は、NFC(近距離無線通信)機能付きの活動量計「カラダフィット」シリーズを展示した。カラダフィットは、同社が「世界最小クラス」とうたう活動量計で、3軸加速度センサーを搭載し、消費カロリー、歩数、移動距離、睡眠の質(眠りの深さ)などのデータをリアルタイムで記録する。記録は、Bluetooth Smartを使ってスマートフォンに送信できる。
開発中の指輪型活動量計も展示した。こちらは、“鼓動の音”で脈拍を計測する。MEMSマイクで音を拾い、アンプで増幅している。脈拍の測定は、光センサーを使う製品が多いが、心音を利用して脈拍を測定する方法は「あまりない」(同社)という。ただし、同社によれば、「現状では、ノイズを拾ってそれも脈としてカウントしてしまう場合があり、実際の脈拍数よりもやや高く出る傾向にある」としていて、製品化に向け、精度を高めることが最重要課題となりそうだ。製品化は、2015年春から夏を目指している。
活動量計をタイムカード代わりに使う、という面白い発想を基に「健康タイムカード」を開発したのが、メディカクラウドだ。習志野台整形外科内科の理事長を務める宮川一郎氏が創設したメーカーである。健康タイムカードは、活動量計を使って出退勤時間を打刻するシステム。活動量計を端末にかざすと、時刻とともに、1日の活動量や歩数も表示してくれる。活動量や歩数は、その日だけでなく、週単位、月単位でも確認できる。
また、例えば、会社で健康タイムカードを導入した場合、活動量や歩数が全社員の中で何位なのか、という順位付けもできる。「活動量や歩数が多い人を表彰するなど、社内イベントにも使えるかもしれない」(メディカクラウド)。
健康タイムカードは、NFC(ソニーの「NFCヘルスケアライブラリー」)を搭載している活動量計であれば使うことができる。現時点では、エー・アンド・デイのNFC機能付きの活動量計や、MTIのカラダフィットが対応している。メディカクラウドによると、「活動量計の規格が統一されていないこともあり、対応機器はまだまだ少ない。Bluetooth対応の活動量計は多いが、タイムカード代わりに使うとなると、1対1だけでなく1対多数の接続も行うBluetoothは難しい。1対1のNFCが最も適している」という。
また、クラウド上のデータベースと連動したサイネージ「MoveFun(モブファン)」のデモも行った。同社は“健康サイネージ”と呼んでいる。仕組みは健康タイムカードとまったく同じで、NFC機能付き活動量計をかざすと、歩数が表示される。歩数のデータは、さまざまなサービスと連携して利用できる。例えば、MoveFunを10月中に導入する商業施設では、歩数に合わせてポイントを付与し、たまったポイントを商業施設で利用できるようにするという。他にも、市役所に設置して訪れた市民に気軽に歩数を測ってもらい、健康増進に役立てるといった使い方もある。
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