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» 2015年04月28日 10時00分 公開

3DプリンタとCNCフライスの違いって何?ママさん設計者がやさしく教える「CNCフライス超入門」(1)(2/3 ページ)

[藤崎 淳子/Material工房・テクノフレキス,MONOist]

で、CNCフライスって何か?

 まず、CNCではない、単なる「フライス盤」とは、高速で回転する主軸に刃物を取付けて材料を削る工作機械のことです。左右(X軸)前後(Y軸)上下(Z軸)の3軸のハンドルを手で回して操作し、指定した形状を切り出したり指定した位置に穴を開けたり、指定した範囲の指定した量の材料を削り取るための機械です。

 そして「CNCフライス」とは、文字通り「CNC化されたフライス盤」です。フライス盤単体では3軸の操作を手動で行わなければならないため、単純形状の一品物加工にはうってつけなのですが、出来る仕事は限定されます。でもCNC化することで、手動では難しい加工が“楽に、正確に、バラつきを抑えて数多く”作れるようになるのです。もしかしたら、CNCに頼らずとも両手両足全身全霊を捧げてハンドルを回せば頑張れるのかもしれませんが、しょせん人体の限界を痛感するだけなので素直にCNCに頼った方がよいのです(経験則として……)。

 では、「その便利な『CNC』とは何なのか?」ですが、これはComputer Numerical Controlの略でして、直訳すると「コンピュータによる数値制御」。つまり、動作命令を数値化してコンピュータで制御する装置を指します。もちろん人間の動作をコンピュータ制御することは出来ませんから、フライス盤のCNC化とは、X・Y・Zの3軸それぞれにモータを付けて人力の代替とし、それについてコンピュータが動作命令と制御を行うようにすることです。「DIY用に卓上フライスを買ってみたけど、CNC化してみたいな」という場合は上記に沿って“改造”することになるのですが、それ自体がちょっとしたマニアの世界です。魔改造もあります。そのくらい拡張性が高いので、CNCフライスの入り口でうっかりその世界に迷い込んでしまうと、目的であるはずの加工の実施になかなかたどり着けません。

 “CNCフライス”として市販されているものはあらかじめコンピュータ制御装置を持つフライス盤です。機種を選定する際には“CNC”フライスであることをお確かめくださいね。

 参考までに、オリジナルマインドは、組立キットというスタイルでデスクトップ型CNCフライスを提供しています。自分で機械を組み立てることで仕組みを学習できる利点は大きいです。また、ノウハウが豊富でサポートも手厚いので、初心者さんにもオススメです(関連リンク:オリジナルマインド)。

 さて、いまだに「3Dプリンタは、PCで立体の絵を描いて機械に読ませれば自動的に造形してくれそうだけど、CNCフライスはそれだけじゃ動かないんですよね?」といった声をしばしば耳にします。確かに、CNCによって加工が便利にはなります。ですが肝心のコンピュータは“自分に言われたこと”しかできませんから、「何を作るのか」を決めたら、そのために必要な情報は人間がコンピュータにインプットしなくてはいけません。でも、これは3Dプリンタでの造形作業でも同じなのです。

 どちらもX・Y・Zの3軸をコンピュータで制御しながら使う“お道具”に過ぎないのですから、人間が材料と情報を準備して、加工(造形)に必要な環境を整えてあげることで、はじめて活躍するのです。この準備のことを、私は「段取り」と呼んでいます。「段取り八分の仕事二分」の言葉のとおり、一見カンタンに出来たように思えるものでも、それは入念な段取りがあってこその結果なのです。

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