アルミ部品と樹脂を化学結合で一体化、接着剤よりも安価に高機能フィルム展

神戸製鋼所は、「第6回 高機能フィルム展」と同時開催の「第2回 高機能 金属展」において、アルミニウム加工部品とポリプロピレン(PP)樹脂を一体化する新開発の接合技術を披露した。

» 2015年04月15日 13時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 神戸製鋼所は、「第6回 高機能フィルム展」(2015年4月8〜10日、東京ビッグサイト)と同時開催の「第2回 高機能 金属展」において、アルミニウム加工部品とポリプロピレン(PP)樹脂を一体化する新開発の接合技術を披露した。

 同技術は、ある表面処理を行ったアルミニウム加工部品を、PP樹脂部品の金型にセットして射出成型すれば、アルミニウム加工部品の表面処理部分とPP樹脂が化学結合し一体化・接合できるというものだ。

 PP樹脂部品に埋め込む場合には、アルミニウム加工部品の両面に表面処理を施す必要がある。PP樹脂部品の表面にアルミニウム加工部品を面接合する場合は、接合する面にのみ表面処理を行えばよい。

神戸製鋼所が開発したアルミニウム加工部品とPP樹脂部品を一体化する技術の概要 神戸製鋼所が開発したアルミニウム加工部品とPP樹脂部品を一体化する技術の概要(クリックで拡大) 出典:神戸製鋼所

 自動車の外装ボディは、軽量化のために樹脂部品の採用が拡大している。ただし、金属部品と樹脂部品をつなげる手法は、ボルトなどを使った締結や、接着剤、ナノ加工した金属表面と樹脂表面の間の機械的な接合が中心だった。

 今回の技術は、アルミニウム加工部品の表面とPP樹脂が化学結合するので、一定レベル以上の剛性を確保できる。射出成型プロセスの際にアルミニウム加工部品が一体化・接合されるので、接着剤を使うよりもプロセスを簡素化しながら、ボルトレス化が可能になる。さらに「接着剤より安価になるようにしたい」(同社の説明員)ともしている。

 アルミニウムとPP樹脂の膨張係数の差による影響は、PP樹脂の強度を高めるガラス強化繊維などの含有量を調整して対応することになる。またアルミニウムの他、鉄製部品にも適用できるよう技術開発を進めているという。

開発技術を使ってアルミニウム加工部品を一体成型したPP樹脂部品 開発技術を使ってアルミニウム加工部品を一体成型したPP樹脂部品(クリックで拡大)

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