日立製作所は、新方式の磁極対向型リニアモーターを開発した。可動部質量を従来の3分の1に軽量化したことで、加減速時の消費電力を65%削減し、従来比4.3倍となる加速度を達成したという。
日立製作所は2015年3月23日、新方式の磁極対向型リニアモーターの試作機を開発したと発表した。可動部質量を従来の3分の1に軽量化したことで、加減速時の消費電力を65%削減し、従来比4.3倍となる加速度を達成したという。
リニアモーター可動部の動力となる推力の向上には、可動部の永久磁石と電磁石の対向面積を増加させ、より多くの磁力を互いに作用させる必要がある。しかし、可動部が片側の電磁石から磁力を受けるため、強度を確保するために可動部質量を増加させる必要があった。
新たに開発された磁極対向型リニアモーターでは、可動部の永久磁石を挟み込む「磁極対向構造」を採用。可動部が両側の電磁石から磁力を受けるため、可動部を厚くする必要がなく、大幅に軽量化した。さらに、可動部が両側の電磁石から磁力を受けることで磁束が流れやすくなり、従来に比べ、効率的に推力を得ることができる。
また、可動部を複数にする「多段可動部構造」により、可動部の永久磁石と電磁石の対向面積が約4倍に増加。推力が大幅に向上したという。2つの可動部を連結したことで、強度も向上している。
試作機では、モーターの加減速時に消費電力を65%削減した他、従来比4.3倍となる加速度1670m/s2(170G、G:重力加速度)を達成したという。同社では、この技術を工作機械や半導体製造装置に適用し、消費電力の削減と生産性向上につなげるとしている。
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