製造業にとって重要な要素である「生産管理」ですが、なかなか初心者には理解するのが難しい……。そんな生産管理初心者に向け、RPG(ロールプレイングゲーム)になぞらえて分かりやすく生産管理を解説する本連載ですが、第3回となる今回は、不具合発生確率の観点から、シックシグマやハインリッヒの法則をご紹介します。
「生産管理」の基礎を分かりやすく解説するために「RPG(ロールプレイングゲーム)」になぞらえて解説している本連載「RPGで理解する生産管理」。
前回の「RPGクリアに欠かせないアイテム管理と在庫管理」では、「3つのムダ」の中にある「過剰在庫のムダ」にフォーカスし、RPGにおけるアイテム管理と製造業における在庫管理の関係性について解説しました。ムダな事態が生じるのを避けて、作業効率を高めるために「整理」「整頓」「清潔」「清掃」「しつけ」の5つ「S」に熱心に取り組む重要性を紹介しました。これらは品質管理の中でも重要なポイントとなります。
今回は、さらにこの「品質管理」に目を向けて、不具合の発生確率を考えた上で、不具合の発生をどのように管理していけばよいかを見ていきます。
皆さんはRPGをプレイする際、敵キャラに遭遇せず目的地に到達するためにどういうルートをたどりますか。なるべく最短距離で到達するように森や山を真っすぐに進んでいくという考え方もあるでしょう。一方で、道が険しそうなエリアを避けて通るという考え方もあると思います。ちなみに筆者はどうしても最短距離で行きたくなってしまいます。
では、経験値をためたいので、すぐに敵と戦いたいといった場合は、どこを歩けばいいでしょうか。多くの敵と戦うためには敵キャラが現れやすいフィールド、例えば「山」のようなところを歩き回るのではないでしょうか。多くのRPGでは、フィールドの地形によって、「敵キャラの遭遇率」は異なるように設定されています。それを肌感覚で理解しているから「敵の多く出そうなところ」を選んで歩きまわるのではないでしょうか。
敵キャラ遭遇率とは、敵キャラに遭遇する確率がどのくらいあるのかということです。実際にRPGにおける各フィールドには、プログラムの内部にその確率が設定されています。スロットマシンなどでは、設定によって「大当たり」の確率が異なっていますよね。カジノに行って出やすい台、出づらい台があるのと同じです。
では、その「確率」とは一体何でしょうか。一般的には「確率とは、ある現象が起こる度合い、ある事象が現れる割合のことをいう」とされています。よく「確率統計」という1つの言葉でくくられることがありますが「確率とは未来に起きることに関する割合」であり、「統計とは過去に起きたことに関する割合」という点に違いがあります。RPGでフィールドごとに設定されている敵キャラ遭遇率が「確率」で、実際にフィールドを歩いて山で敵キャラに遭遇した回数、草原で敵キャラに遭遇した回数の記録を取って、その割合を出したものが「統計」といえるでしょう。
これらの数値は、製造現場でも多く使われます。
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