エリカちゃん! そんなにがっかりすることはないよ。この問題は歴代の先輩たちが次々とはまっている落とし穴だ。だから、学校の試験や入社試験の定番になっているのさ。……ああ、もちろん転職試験もね。してほしくないけど。
その通りだな、良君! こんな問題はなぁ、深く考えて悩むより、実務知識として、まるっと暗記しチまえばいいのよ! だからエリカちゃん! 悩むこたねぇちゅもんだ! というわけで、こいつも丸暗記だ(下記)。
『せん断許容応力の「許容」とは、「使用目的の明確化」によって、設計者が設定する値。これを安全率と呼び、業界によっては、その値をルール化しているところも多い』
あれこれ考えないで、丸暗記しちゃいます。
そう! そんでいいってもんよ。
さあエリカちゃん! 第2のポイントは、ここだっ!
せん断応力σ=W/A=19600/490.6=40.0 N/mm2
上の式は、「平均せん断応力」であり、この値で、以降を継続して計算する場合もある。しかし、ここでは専門的なやり方で、「最大せん断応力」を求めたい。
最大せん断応力τmax=k×W/A
kは断面によって決まる「形状係数」であり、断面が四角形の場合はk=3/2、円の場合は、k=4/3となる。
■最大せん断応力 τmax =4/3×40.0=53.3 N/mm2
となる。
学校のよぉ、中間・期末テストなら、平均せん断応力でも良かったかもしんねぇけどよぉ、設計職人ならやっぱ、「形状係数」を考慮して最大せん断応力で計算したいとこよ! ついでに、「せん断強さは、降伏点にほぼ等しい」ことも実務知識として覚えておけ。これは命令だっ!
学校では教わらない、実務ノウハウですね!
甚さん、カッコイーイッ! ……あ、国木田さん、先に進んでどうぞ。
ああっ! 持っていかれたーっ!(泣)
(おっと、つい前に出ちまった!)お、おう、良君頼むぞ!
そんじゃー、結論どぉえぇ〜〜ス!!
最大せん断応力τmax=4/3×40.0=53.3N/mm2<せん断許容応力が54N/mm2となり、「φ25mmのSS400」で安全率5以上を確保できる。
特に、「せん断許容応力54N/mm2」っていうのは、前回の解説を十分理解していないと導き出せないよ。
一応φ10mmでも計算してみたら、やっぱり安全率=0.8になりました。これでは破損してしまいますね。おかげさまで、安全率の計算についてよく分かりました。国木田さんのこと、本当に見直しましたよ! これからも、いろいろ教えてくださいね。
でへへ。エリカちゃんになら、なんでも教えちゃうぞー。
(フッ、よかったなぁ、良君。……オイラにもこんな時代があったなー)
せん断応力と安全率の計算だが、今回は特別大サービスで、ウチの会社のマル秘データを引っ張ってきた。安全率の決め方は、業界や企業によってさまざまな上、企業秘密(ノウハウ)でもある。今回は、計算の流れさえ覚えときゃいいと思ったから、「丸暗記しチめぇ!」とアドバイスしたんだがよぅ、実際の設計業務で応用するときは自分でも精査・確認しチくり!
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