ZFは、南ドイツに本社を置く自動車部品サプライヤです。
自動車というのはさまざまな部品を組み合わせて作られる工業製品。自動車メーカーはその全ての部品を自社で製造しているわけではありません。
例えば今回お話しするZFで言えば、クラッチや変速機、またハイブリッドモジュールなどの分野で高く評価されており、それ以外にもシャシー関連、たとえばダンパーとかスタビライザーなんかも製造/販売しています。
欧州で言えばボッシュも有名なサプライヤです。ボッシュというよりもBOSCHという字面を見たほうがピンとくるのではないでしょうか。ホームセンターでこのロゴの入った工具をよく見掛けますね。
ボッシュもドイツに本社を構える自動車部品と電動工具のメーカー。近年ではディーゼル関連技術と、横滑り防止装置(ESC)分野で高く評価されています。
無論、日本にも世界に顧客をもつ超優秀なサプライヤが多数存在します。その中でも、私がごく最近その技術に舌を巻いたのが、アイシン・エイ・ダブリュ(アイシンAW)。
同社はAT専門メーカーとして立ち上がった会社で、親会社はアイシン精機というトヨタのグループ企業なのですが、世界中の自動車メーカーにATを提供しており、この分野では世界シェア第1位を誇る部品メーカーです。そのアイシンAW製の6速ATが、最近乗ったシトロエンの「C4ピカソ」と「グランドC4ピカソ」、そしてプラットフォームを共用するプジョー「308」と「308SW」に搭載されていて、これが感動的に滑らかで感激したのでした。
それまでフランス車といえばMT至上主義であったということもあって、AT搭載モデルは時代に大きな後れを取ってしまっていた時期が長かったんです。レクサスやメルセデス・ベンツがやれ8速ATだ、7速ATだと騒いでいた時代に、フランス車が何とも古典的な4速ATを搭載していたというのは、ごく最近の話。
今やクルマ屋さんもグローバルで台数を売らなければいけない時代で、ATの需要は日本だけにとどまりません。アジア・北米も、そして欧州にすら2ペダル化の風はビュウビュウ吹いていますから、「うちの国の顧客はMTさえあればイイんじゃ〜!」なんてことは言ってられなくなっちゃいました。
しかし変速機を自社で開発するには、とてつもなく膨大なコストと時間がかかります。そこで、ノウハウを持つサプライヤに、「ウチの排気量1.2l(リットル)のターボエンジンにピッタリ合う変速機を一緒に作ってくださいな」としたほうが、イチから作るよりもよっぽど手っ取り早いし安くクルマを仕上げられる=ユーザーにいちはやく、価格を抑えて提供できるのです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.