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» 2014年09月17日 11時30分 公開

「日本の車載情報機器開発を支える」、ユビキタスとミラクル・リナックスが提携車載情報機器(2/2 ページ)

[朴尚洙,MONOist]
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車載情報機器のソフトウェア分野にも押し寄せる「モジュール化」

 現在、自動車開発のグローバルトレンドとなっているのが「モジュール化」だ。トヨタ自動車の「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ(TNGA)」やVolkswagenグループの「MQB」、Renault−日産アライアンスの「コモン・モジュール・ファミリー(CMF)」のように、モジュールを組み合わせることで、世界全域で求められるさまざまな車両の開発に対応しようという取り組みである。ユビキタスの佐野氏は、「モジュール化の波は車載情報機器のソフトウェア分野にも押し寄せている」と指摘する。

 その原因として佐野氏が挙げるのが、車載情報機器市場の二極化である。例えば、先進国では従来のカーナビゲーションシステムを発展させるとともに、先進運転支援システム(ADAS)などを融合した統合コックピットのような車載情報機器が実用化されつつある。その一方で、自動車市場の成長エンジンとして期待される新興国では、そういった高機能の車載情報機器ではなく、スマートフォンとの連携でカーナビゲーションなどが可能になるディスプレイオーディオのような機能を限定した低価格の製品の方が受け入れられやすい。

二極化する車載情報機器市場 二極化する車載情報機器市場(クリックで拡大) 出典:ユビキタス

 このように市場が二極化する中でも、自動車メーカーや車載情報機器メーカーは、車載情報機器のプラットフォームは共通化し、SoCやミドルウェア、アプリケーション、UI(User Interface)などを使い分けて、必要とされる機能を実現できるようにしたいと考えている。その共通の車載情報機器プラットフォームとして、最も有力視されているのがLinuxである。実際に、ユビキタスとミラクル・リナックスが対応を目指すとしているAGLには、トヨタ自動車をはじめ大手の自動車メーカーや車載情報機器メーカーが参画している。そして、Linuxを用いた車載情報機器も徐々に登場し始めている。

 とはいえ、Linuxベースの車載情報機器の開発プロセスはまだ確立したとはいえない状況だ。佐野氏は、「車載情報機器メーカーが、SoCの研究評価段階から、本格的に製品開発に移ろうとするときに、きちんとサポートできるLinuxディストリビューションのベンダーはまだ存在しないと言っていい。われわれは、この製品開発プロセスで必要になるBSPを提供し、サポートもしっかり行うことにより、日本の車載情報機器開発の一助になりたいと考えている」と強調する。

車載情報機器の開発プロセス 車載情報機器の開発プロセス。ユビキタスとミラクル・リナックスによれば、Linuxベースの車載情報機器を開発する上で、中央の「製品開発」のプロセスをきちんとサポートできるLinuxディストリビューションのベンダーはまだ存在しないという(クリックで拡大) 出典:ユビキタス

 またミラクル・リナックスの伊東氏も、「当社の組み込み機器における採用実績は、他社ディストリビューションのバグフィックス対応などから始まることが多い。車載情報機器分野でも同様のことが起きており、ある事例では3カ月かけて直らなかった不具合を当社が半日で直したこともあった。サポート力こそが当社の強みであり、ユビキタスとの提携でも生かしていきたい」と語る。

ルネサスの「R-Car」がBSPの第1弾に

 両社が開発中のBSPについては、ルネサス エレクトロニクスの「R-Carファミリ」を搭載するものが第1弾になるとみられる。実際に、今回の提携の発表文では、ルネサスの車載情報システム事業部で車載情報戦略部 部長を務める吉田正康氏が賛同文を寄せている。ユビキタスとルネサスは、村田製作所とともに車載情報機器に次世代無線LAN技術を導入するための共同開発を進めることで合意している関係でもある(関連記事:IEEE802.11ac/aiを車載情報機器に導入、ルネサスと村田製作所など3社が共同開発)。ただし、「ルネサス以外にも、Freescale SemiconductorやTexas Instrumentsといった有力半導体メーカーの車載情報機器向けSoCへの対応も視野に入れている」(佐野氏)という。

 またBSPに用いるLinuxカーネルについては、「当初はAGLのリファレンスである『Tizen IVI』を使うことになるだろう。その後、AGLに対応したEmbedded MIRACLEを提案していきたい」(伊東氏)としている。

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