解析のブラックボックスをなくせ――現場で生かせる基礎講座を提供CAEニュース(2/2 ページ)

» 2014年08月15日 14時00分 公開
[加藤まどみMONOist]
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今年も「式のない」シリーズを実施

 2回目となる今年のサマースクールは、2014年8月19〜22日(前期)、28、29日(後期)の6日間にわたって開催される(前期は申し込み終了、後期は8月22日締め切り)。今年は有限要素法を徹底的に解説する。今年も「式のない」シリーズとして「式のない有限要素法」が入門編として実施される。全講座で大学学部から大学院までに学ぶ内容を網羅できる。講座を担当するのはプログラミングから汎用ソルバにまで携わっているテクニカルサポート部 シニアアプリケーションエンジニアの渡邉浩志氏だ。大学での講義は教員もテキストもバラバラで、一貫性が確保しにくいのも課題だ。今回の講座では渡辺氏が一貫してテキストの編集、講師を行っている。そのため解析での実用を見据えた形で基礎知識を学ぶ場として実用的だという。

 MSCが2014年5月に実施したユーザーカンファレンスでも、大学の教員をはじめとする講師による講演に力を入れたという。例えば日本工業大学の瀧澤英男氏による、ブラックボックスとなっている汎用コードを使うためのFEMの学び方についての講座は予想外に人が集まったという。このことからも現場の基礎知識の習得に対する問題意識は高いことが見て取れる。

解析の自動化での課題も

 基礎知識が身についていないことによる別の課題も指摘した。日本でも設計や解析の自動化が進められているが、システム任せで設計ができるようになると、設計者が考えなくなったため、自動化のシステムの枠を超えたものを作れなくなった。そのためシステムを一度ばらしてまた個々の訓練が進むと自動化という流れを繰り返しているのが日本の特徴だという。一方ドイツでは、はじめから理論をしっかりふまえてシステムを作るため、10年単位で継続的に使えるシステムを構築している。これはドイツにおける強みだと加藤氏はいう。

 今後は基礎講座に限らず、実験とシミュレーションをリンクさせたり、実験の代わりにシミュレーションを使ったりといった講座をサマースクールに限らず企画していきたいという。実験はばらつきがあるなどをふまえ、いかに現場で役立つかをテーマに、内容を進化させていきたいということだ。

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