新たな解析では、統合CAEプラットフォーム「Hyper Works」と有限要素ベースのCFDソルバ「AcuSolve」、AcuSolve用のCFDプリプロセッサ「AcuConsole」を使用して、流体と構造の連成解析を行った。解析モデルは2層ある低温側の流路が高温側の1層の流路を挟む形になっており、流れる方向は低温側と高温側が垂直になっている。各層の間にはブレージングシートと呼ばれる部材があり、それぞれの流路を隔てている。全体の材質はアルミニウムで流体は空気である。ブレージングシートは温度勾配が大きく破断しやすいことが以前から分かっていた。そのためブレージングシートを連成解析の対象とした。
まず熱交換器の流体解析を行った。図2がその結果だ。左は高温部、右は低温部で、上段が熱交換器のアルミ材の温度分布、下段が流体の流速分布である。右端は評価対象としたブレージングシートの温度分布である。
次に構造解析用のモデルをAcuConsoleに導入し、CFDで得られた温度分布を構造解析用モデルにマッピングした。その結果を出力し、CAEモデリングツール「HyperMesh」に導入されている構造解析用モデルにマッピングする。続いてマッピングデータを用い、FEMで強度解析を行った。なおCFD用と構造用のメッシュは一致しない。
これより、高温側の入口および低温側の入口に、熱荷重による高い応力がかかっていることが確認できた。
これらにより、2つの成果を得ることができた。1つはCFDによる温度分布を正しく構造解析用モデルにマッピングできるということである。もう1つは、そのモデルで連成解析を行ったときの最大応力の位置が、ブレージングシート上の破断しやすい位置に出たことだ。
今後は実際に新製品への適用を進めていきたいという。異なるフィン形状やフィンのピッチ、また空気だけでなくオイルや燃料といった異なる流体にも適用していくということだ。さらに今回の熱応力解析を振動解析などにも適用することで、従来の疲労評価に熱の影響を盛り込んでいくとしている。
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