ここまで、エアバッグについてさまざまな視点で説明してきましたので、もう十分満腹だとお感じかもしれません。しかし最後に、エアバッグ搭載車の注意点を幾つかお伝えしておきたいと思いますので、もう少しだけお付き合いください。
極めて基本的なことではありますが、メーター内にエアバッグ警告灯が点灯している時は、システムがエアバッグを展開させない状態に移行しています。この状態で展開条件を上回る衝撃が加わったとしてもエアバッグは開きません。
ステアリングに設置されている運転席用エアバッグと違い、助手席用エアバッグはダッシュボードに設置されています。必然的に乗員までの距離が遠くなりますので、運転席用と比べて大きなエアバッグが展開します。
つまり、運転席用よりも爆発力が大きくなりますので、助手席に子どもが座っている場合は直接顔面に当たらないようにシートを最後部まで下げて着席させることが基本となります(何より子どもを助手席に座らせないのが理想)。
同様に、チャイルドシートも基本的には助手席への設置は避けるべきです。どうしてもという場合は、前向きに設置してシートを最後部まで下げます。新生児〜指定月齢までは後向きで使用してくださいという注意書きのあるチャイルドシートであっても、必ず前向きに設置しなければなりません。
助手席に後向きで設置すると、先述した通りのエアバッグの衝撃力によってチャイルドシートがひっくり返ってしまい、チャイルドシートに座っている子どもに深刻なダメージを与えてしまう可能性がありますのでご注意ください。
車種によっては、助手席エアバッグの展開を止めるキャンセルスイッチが設けられています。子どもやチャイルドシートを乗せている場合は非作動に設定しておきましょう。
ダッシュボード上に置かれた物は、エアバッグが展開した時に全て凶器となって飛んできます。
ダッシュボードに貼り付けたドリンクホルダーはもちろん、たまに見掛けられるダッシュボードに設置された豪華なテーブルも、エアバッグが展開した時点で乗員に襲い掛かってきます。顔面骨折は避けられないでしょう。
いろいろと便利な物をダッシュボード上に設置したい……という気持ちも分かりますが、エアバッグがダッシュボード内に設置されている車両には何も置かないという大前提を知っておきましょう。
チャイルドシートという概念がまだ存在していなかった時代は別ですが、装着を義務化された今の時代でも子どもを膝の上に乗せて助手席に座っている方を見掛けることがあります。
仮に体重が15kgしかない小さな子どもであっても、衝突の瞬間に支えなければいけない仕事量は相当大きくなります。屈強な男性であっても非常に困難なレベルですので、「何があっても抱きしめて守ってあげるからね!」といった無責任かつ無謀なことはしないでください。
衝突事故の際には、子どもは手で支えきれずに前方に飛んでいくことになり、最悪の場合はフロントガラスを突き破って外へ投げ出されることになります。ご注意ください。
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