医薬品産業で成長を遂げているインド。「第27回 インターフェックス ジャパン」ではグローバルパートナーとしてパビリオンを設けている。インターフェックス ジャパンの開催を機に来日したインド商工省副大臣は、高齢化による医療費の増大など、日本が抱える課題にインドが貢献できると強調する。
医薬品や化粧品の専門技術展「第27回 インターフェックス ジャパン」(2014年7月2〜4日)が始まった。今回、グローバルパートナーとして招かれているのがインドだ。インターフェックスではインドパビリオンが設置され、100社を超えるインドの医薬品メーカーが出展している。
IT産業が盛んというイメージが強いインドだが、近年は医薬品産業でも急成長を遂げている。インドの医薬品市場規模は、2009年は126億米ドルだったが、2020年までに550億米ドルになると予測されている。
インターフェックス ジャパンを機に来日したインド商工省副大臣のRajeev Kher氏は、「インドは“世界の薬局”だ」と述べる。例えば、多くの発展途上国に安価なジェネリック(後発医薬品)のエイズ治療薬を提供してきた。「ジェネリックを製造しているトップメーカー25社のうち、8社がインドに本拠地を構えている。また、世界に流通している錠剤の1/3はインドで生産されていて、世界中の子どもの3人に1人は、インドで製造されたワクチンを打っている」(同氏)。
医薬品の輸出も伸びていて、輸出国は約200カ国に上る。米国では、ジェネリック薬品と店頭で販売される医薬品の約40%はインドから輸入されたものだという。
医薬品産業、とりわけジェネリックに力を入れるインドにとって、日本は積極的に参入していきたい市場だ。日本は、医薬品産業において米国に次ぐ世界第2位を維持しているが、ジェネリックが占める割合は少ない。Kher氏は、高齢化に伴う医療費の増大という問題に直面している日本に、「高い品質と安全性を備えるジェネリックを安価に提供できるインドが貢献できるのではないか」と提言する。「インド政府にとって日本は重要な市場だ。インドの医薬品メーカーの実力を示す場にしたい」(Kher氏)。
日本とインドは2011年に包括的経済連携協定を締結していて、インドにとっては日本の医薬品市場に入りやすい状況になっている。
ただし、インドのジェネリックには懸念事項もある。FDA(米食品医薬品局)は2014年2月、FDAのインド事務所の調査員を増やすことを発表し、検査を強化する意向を示した。インドの大手製薬会社が製造した医薬品について、米国での販売を禁止する措置などもとっている。こうした状況の影響なのかは定かではないが、インド政府は同国の医薬品産業のブランディングテーマを「世界の薬局」から「責任ある健康(Responsible Healthcare)」に変更し、高品質な医薬品の提供に注力することを強調している。
Kher氏はこのテーマの下、「インド政府は今後、単に医薬品のみならず、医療機器や医療サービスなどを含めた総合的なヘルスケアを提供することを目指している」と語った。
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