トヨタが新型「パッソ」に自動ブレーキを搭載しない理由 : 安全システム (2/2 ページ)
燃費性能については、「販売台数の約90%を占める」(鈴木氏)という排気量1.0lエンジンモデルで大幅な改善を図るために新型エンジンを採用。さらに、アイドルストップシステムの性能強化も燃費向上に大きく貢献している。
従来モデルでは、時速0kmになって停車した時点でエンジンを停止していたが、新型パッソでは時速9km以下に減速した段階からエンジンを停止する仕様に変更。減速時のブレーキエネルギーを回生し鉛バッテリーに電力として充電する機能も追加した。「30%の燃費向上のうち、10%分はアイドルストップシステムの貢献によるもの」(トヨタ自動車)だという。
JC08モード燃費27.6km/l達成の要因。青色で示す新型エンジンのみならず、アイドルストップシステムの性能強化や、低転がり抵抗タイヤの採用や、吸気温度の低減、空力性能の向上も図った(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
安全機能については、横滑り防止装置(ESC)と急ブレーキ時にハザードランプが点滅する「緊急ブレーキシグナル」を標準装備した。
横滑り防止装置と「緊急ブレーキシグナル」を標準装備(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
しかし、同社が“激戦区”と語る軽自動車や2ボックス車の市場で、大きな差異化要因となっている運転支援システムについては搭載を見送った。パッソはダイハツ工業が製造しており、同社のブランドで「ブーン」という名称で販売もしている。同社の軽自動車「ムーヴ」などに搭載している、レーザーレーダーを用いる運転支援システムを搭載する判断もあったはずだ。
ただし、レーザーレーダーを用いる運転支援システムは、時速30km以下などの低速で走行している際にしか動作しないこともあって、市街地における軽衝突を避けるためのものとなっている。トヨタ自動車の常務役員を務める小木曽聡氏は、「当社は、より広い速度域をカバーできる運転支援システムを現在開発中である。この運転支援システムが完成する2015年以降、パッソのような小型車をはじめさまざまな車両への展開を始める計画だ」と述べている。
ホンダが自動ブレーキで「時速XXkm以下なら衝突回避」を明言しない理由
「第20回ITS世界会議東京2013」の併催イベントとして、現行車両の安全システムを体験できる「体験しよう! 自動運転に向けて in お台場―世界のクルマが集合―」が開催されている。ホンダの新型「フィット」に搭載されている「シティブレーキアクティブシステム」を体験してきたので、その時の映像と合わせてリポートする。
トヨタの新開発アトキンソンサイクルエンジン、「マツダやホンダより高性能」
トヨタ自動車が開発した「高熱効率・低燃費エンジン群」は、同社がハイブリッド車専用エンジンに採用しているアトキンソンサイクル化や高圧縮比化の技術を、通常のガソリンエンジンにも適用したものだ。しかし、走行モーターを使わない通常のガソリンエンジンに求められる走行性能を確保するには、さまざまな工夫が必要だった。
三菱自の「ミラージュ」は車重860kg、荷室容積は「ヴィッツ」比14%減の235l
三菱自動車は小型車「ミラージュ」を2012年8月31日から国内向けに販売する。車重は860〜870kgと軽量で、アイドルストップ機能搭載モデルであれば、JC08モード燃費は27.2km/l(リットル)を達成する。荷室容積は、競合車種であるトヨタ自動車の「ヴィッツ」の14%減となる235lにとどまった。
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