KOILの特徴は、拠点だけでなくイノベーションを生み出すコミュニティーの創出に開始時から力を入れている点だ。「TXアントレプレナーパートナーズ」との協力により、起業家たちのアイデアや技術を事業化につなげるメンター(助言者)がKOILに常駐し、創業支援プログラムの提供を行うという。
TXアントレプレナーパートナーズは、筑波大学や産業技術総合研究所、東京大学や千葉大学、東京理科大学、国立がん研究センター、デジタルハリウッド大学など、数多くの研究拠点が立地するつくばエクスプレス沿線において起業家支援を行う組織だ。出資を行う24人のエンジェル会員と、事業支援を行う60人のサポート会員が加盟しており、資本面、事業面などで支援を行っている。出資実績は合計13社で、出資企業の中には電動バイクベンチャーのテラモーターズなども含まれている(関連記事:「アベノミクスの成功例になる」、テラモーターズがスマホ連携電動バイクを発表)。
TXアントレプレナーパートナーズの最高顧問を務める村井勝氏は「今までTXアントレプレナーパートナーズは拠点を持たなかったが、KOILを拠点としメンターが常駐する中で、新たな産業創出に貢献していく。ベンチャー企業の実践型の個別講座なども用意する他、国際化支援などにも取り組んでいく」と話している。
KOILには、TXアントレプレナーパートナーズの他、新設された三井不動産ベンチャー共創事業室のメンバーも常駐する。会員の応対などの実運営は読売広告社に委託。イベント開催などは三井不動産やTXアントレプレナーパートナーズ、ロフトワークなどの他、近隣の自治体や団体などの企画を受け入れるという。
また「KOILファクトリー」の設備は、レーザーカッター「TROTEC Speedy300 C75」3Dプリンタ「BONSAI Mini BS01」2台、3Dスキャナ「NextEngine HD Pro」、3Dモデラー「FreeForm with Touch」、大判プリンタ「EPSON SC-T5050」、ボール盤「SK11/SDP-600RD」、はんだ付けセット「白光 はんだごて」、電動ドライバー「マキタ 充電式インパクトドライバ」、研削盤「RYOBI BDS-1000」、工具セット「KTC SK3650EEM」を備えている。
KOILは2014年4月14日に本格オープンとなるが、1年で400会員、3年で入居率95%を目指すという。KOILの運営には、通常のオフィス賃貸に比べて1.5倍程度の経費が発生するとしているが、400会員を獲得できれば、ビジネス面でも黒字化できる見通しだという。
新設された三井不動産ベンチャー共創事業室の室長となった松井健氏は「ソフト面でもベンチャー支援できるようなさまざまな取り組みを行ってきており、その集大成ともいうべき拠点ができる。大企業の入居にもいい手応えを感じており、世界に誇るイノベーション拠点として、新たな産業創出を現実のものとしていきたい」と抱負を語っている。
KOILを利用する基本価格は以下の通りだ。
グローバル化により変化と競争が激化する中、製造業には自ら新しい価値を生み出すイノベーションを持続的に生み出すことが求められています。既存の価値観を破壊する「イノベーション」を組織として生み出すにはどうすればいいのでしょうか。「イノベーションのレシピ」特集では、成功企業や識者による事例を紹介しています。併せてご覧ください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.