「Autodesk ReCap」を利用すれば、デジカメやスマートフォンで撮影した写真をクラウド上のサービスにアップして3次元データを作り、それをCADに取り込んで設計を進めることが可能になる。
オートデスクは2013年3月27日、同社のブランド刷新と新製品に関する記者説明会を開催した。
新規の製品としては、「Autodesk ReCap」を発表した。「ReCap」は「RealityCapture」の略。同製品には以下の2種類がある。
いずれも同社の設計ツール内にリアルな世界の3次元情報を取り込むことができるツールだ。
「Autodesk ReCap Studio」は、今後販売される同社設計関連製品の「2014」バージョンに同梱されるデスクトップ製品だ。レーザースキャナなどで取り込んだ点群データを利用して3次元データを作成でき、ツール内でデータのエラーチェックや修正もできる。そのデータを同社の設計ツール内に取り込み、そこから設計が始められる。
従来の「AutoCAD」もスキャナの点群からの3次元データ化に対応していたが、この製品では取り込める点群数が200億程度(従来は20億)と大幅に増え、表示精度も高まってより実用性が増した。
「Autodesk ReCap Photo」は、クラウドサービス「Autodesk 360」から提供する。こちらは2013年4月中に試験的にサービス運用を開始する予定だ。ユーザーがデジタルカメラやスマートフォンなどで撮影した写真(幾つかの角度で撮影しておく)をAutodesk 360内のツールにアップすると3次元データが生成される仕組みだ。このデータは「Autodesk ReCap Studio」に取り込んで活用する。
Autodesk ReCap Studioを同梱する予定の製品は、下記の「2014」バージョン。
用途としては、建築設計の図面化や、製造業におけるリバースエンジニアリング、プラント設計時の配管プランニングなどを想定する。
同社汎用CADの新製品「AutoCAD 2014」(一部製品から2013年3月27日より出荷開始)についても主要な新機能3つについて紹介した。1つは上記のReCapに関係するところだ。従来機能である点群ビュワーは上述のReCapエンジンを採用することで表示を高速化。点群データを参照しながらの設計もしやすくなる。
もう1つ「ライブマップ」という新機能は、GIS座標のライブラリから地理情報(住所や緯度・経度)を引き出し、設計データとリンクすることが可能だ。
図面をクラウドサービス上にアップして、複数ユーザーと図面を共有しながらチャットでコミュニケーションできる仕組みも備えた。
なお2013年4月1日より、AutoCADの技能認定制度「AutoCAD プロフェッショナルを開始するとのことだ。開始後1年間で2000人の合格者を出すことを目指す。試験は選択式の問題と実技操作で構成され、35個の問題を120分間で解く。
今回、オートデスクのロゴデザインが大きく変わるとともに、同社製品のパッケージデザインも従来のような濃色系でユーザーを具体的に表現したようなデザインから、淡色系の優しい雰囲気の抽象的モチーフを使ったデザインに変わった。
今回は、創業以来4回目のロゴ刷新となった。ロゴの「A」というデザインは、「折り紙」をイメージしている。折り紙は芸術と科学が融合した形であり、それがオートデスクの企業方針や製品群とも共通していると考えたという。3色は、同社の3つの顧客ターゲット、「プロフェッショナル(専門家)」「学生」「コンシューマ(消費者)」を表す。
今回の発表では、今後も引き続き専門家向け製品とコンシューマ向け製品のどちらにも力を入れ、デスクトップ製品とクラウドサービスと連携させたサービスを積極的に提供していく方針を示した。
コンシューマ系ユーザーに向けた操作教育関連については、FabCafeやMONOなどモノづくり関連の店舗や施設でセミナーを開催することでサポートしていく。なお、無償3次元CAD「Autodesk 123D」の指南書が2013年4月に米国で発売される予定だという(英語版のみ)。
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