パナソニックは2014年度の事業方針を発表。2014年度は、構造改革の総仕上げとするとともに成長戦略への仕込みを行う年と位置付け、2018年に売上高10兆円を目指す。
パナソニックは2014年3月27日、2015年3月期(2014年度)の事業方針を発表した。2014年度は、2016年3月期(2015年度)内の赤字事業解消に向け構造改革をさらに進めていく一方で、2019年3月期(2018年度)までの次の中期計画を見据え、成長への基盤作りに力を注ぐ方針を示した。新たに5つの事業領域と3つの地域区分を組み合わせ、地域から逆算したリソース配分を新たに取り入れ、重点領域へのリソースシフトを大胆に進めていく方針である。
同社は、前期まで2期連続の赤字となり、2014年3月期(2013年度)は経営再建への構造改革を推進。プラズマテレビおよびパネル事業を終息させた他、一般消費者向けのスマートフォンの開発休止、半導体事業における工場の売却や、ファウンドリ(半導体の製造受託サービス)企業との合弁設立など、大幅な事業ポートフォリオの再編を進めた(関連記事:パナソニックが事業再編を拡大、プラズマとスマホに続きエアコンとデジカメも)。また、さらに新たな課題事業として挙がってきたエアコンやデジタルカメラ事業についても事業統合などを通じ、構造改革にほぼめどが立ちつつある状況だという。
同社代表取締役社長の津賀一宏氏は「2013年度にやるべきこととして挙げていた4つのポイントである。『財務体質の改善』『赤字事業の止血』『脱・自前主義による成長・効率化』においては一定のめどを立てることができた。赤字事業の止血については、2013年度はまだ1000億円程度の赤字は残るものの、前倒しで進めた構造改革の成果により、方向付けは完了した形だ。大きな構造改革においてやり切れなかった部分や、小さな構造改革が必要な部分などがあるが、2014年度はこれらを完遂していく」と述べる。
2014年度については「2015年度までの中期計画を達成するとともに、2018年度までの新たな成長に向けた仕込みを行う1年」(津賀氏)と位置付け「事業構造改革の完遂」と「成長戦略の具現化」を2つの「やるべきこと」としてさまざまな取り組みを進めていく方針だ。
事業構造改革費用については、中期経営計画発表時に想定していた「2013〜2014年度の2年間で2500億円」を3000億円に増やすものの、2年間で完遂させる。津賀氏は「将来に禍根を残さず全てこの2年で出し切る」と決意を語る。
一方で、成長戦略は2018年度に売上高10兆円規模を目指す目標を発表。従来は重点事業として「家電」「住宅」「車載」を位置付け、それぞれ2兆円の売上高を目指すとし、残りを「その他」事業として扱っていた。しかし今回の発表では従来「その他」としていた事業の内訳として、業務用の各種製品やサービスを提供する「BtoBソリューション」が2.5兆円、車載用以外の部品事業を「デバイス」事業として1.5兆円という売上高目標を新たに示した。
新たに掲げる「BtoBソリューション」は顧客に向け一気通貫で製品やサービスを提供するビジネス。同社の中では航空業界向けなどが成功事例として挙がる。今後2.5兆円の目標達成に向けては「航空業界向けと同様の成功事例を新たに2、3個作りたい。またエンジニアリング会社を各地域に設置し、各地で他社の製品も含めた包括的なソリューションサービスが行える体制を作る」と津賀氏は語る。
「デバイス」については、リチウムイオン電池やGaN(窒化ガリウム)デバイス、センサーなどのコア技術の強みを従来以上に幅広い事業領域で提案するようにする。「省エネ性能などを核に産業分野向けの拡大に重点的に取り組む。PCを中心としたICT向けから産業用向けへのシフトを進めていく」と津賀氏は話す。
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