トヨタ自動車は2014年3月12日(欧州時間)、欧州モータースポーツ拠点であるToyota Motorsport(TMG)のレースカー技術を使って開発したシットスキーが、ソチパラリンピックのバイアスロン女子6km座位に参加したドイツ代表・Andrea Eskau(アンドレア・エズカウ)選手の金メダル獲得に貢献したと発表した。
TMGは、FIA世界耐久選手権(WEC)や「ル・マン24時間耐久レース」のレースカーを設計/開発するのに培った先進複合材技術を活用。全面的に炭素繊維強化樹脂を採用したシットスキーの重量は、エズカウ選手が従来使用していたものの5.5kgから、約24%減となる4.172kgまで軽量化されている。その一方で、最大時速50kmの速度にも対応可能な耐久性を有している。
TMGが設計/開発したシットスキーを装着してレースを行うアンドレア・エズカウ選手(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
シットスキーのボディシェルの厚みはちょうど1.5mmで、エズカウ選手がスキー操作のために体重を掛ける部分だけ厚みは2.0mmになっている。
軽量化の他にも、レースカーではありえない−20℃の環境下での耐久性や、選手がシットスキーの取り付け/取り外しを簡単に行える構造なども重要な開発項目になった。
TMGは、エズカウ選手が、2012年ロンドンパラリンピックの女子自転車ロードレース(ハンドサイクル)で金メダルを獲得した際にも協力している。
左側の図はシットスキーの設計図面。右側の写真は、ソチパラリンピックと2012年ロンドンパラリンピックで獲得した2つの金メダルを掲げるアンドレア・エズカウ選手である(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
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