誰でも自分の求めるモノを簡単に作れたら……。デジタルファブリケーションの進展により、モノのデータを共有する動きは広がっているが、ノウハウの共有はまだまだ進んでいない。その「組み立て」の問題解決を目指すfavnaviプロジェクトが、ワークショップを開催した。
デジタルファブリケーションの進展でモノのデータの共有が進んでいる。モノづくりの方法についてもテキストや写真、動画などで多くのデータがWebで共有できるようになっている。しかし、データの通り作ったとしても作りたかったモノがうまく作れるとは限らない。そこには、組み立て過程などでのさまざまな潜在的なノウハウが存在するからだ。
fabnaviは、そういった組み立ての過程を共有し「誰でも簡単にモノの組み立てができる」ということを目指したプロジェクトだ。モノづくりの過程を手軽に記録・共有・再生することで、次世代の「ファブ」の基盤となるシステムを目指すという。
同プロジェクトは、文部科学省の革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)のトライアルプログラム「COI-T」として承認を受けた「感性に基づく個別化循環型社会創造拠点」の一翼を担うものだ。
プロジェクトのメンバーは、明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 専任講師の渡邊恵太氏、公立はこだて未来大学 情報アーキテクチャ学科 准教授 塚田浩二氏、Mozilla Japan 研究員の赤塚大典氏の3人で、2013年6月にプロジェクトチームを結成し、活動を開始した。
プロジェクト発足の狙いとして塚田氏は「デジタルファブリケーションが進展した時代において、3Dデータや3Dプリンタの普及により、モノの部品は簡単に出力できる時代になった。しかし、部品が手に入ったとしても組み立てるのは大変で、そこには大きな障壁が残る。fabnaviでは、『見たまま、まねて、組み立てる』ということをコンセプトに、言葉や知識、スキルに依存しにくい、世界共通の新しいモノづくりの枠組みを目指す。新しいモノづくりの説明書のスタイルを作り上げることを目標としている」と話す。
同プロジェクトのシステムは非常にシンプルだ。あらかじめ作成手順をカメラで撮影しておき、それをWebサーバ上に保存。それを作成する際には頭上のプロジェクターから机の上に映し、その手順通りに組み上げるというものだ。
既に結成から2度のワークショップを開催。2013年9月1日に東京で行った他、2013年10月2日にはロンドンでも開催し、レゴブロックの組み立てやペーパークラフトの組み立てなどを行った。そして、3回目となるワークショップを2013年12月22日に都内のFabCafe(関連記事:コーヒーでも飲みながら楽しくモノづくり――FabCafe)で開催した。
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