ロボットカー競技会「The Freescale Cup(フリースケール・カップ)」の世界大会に参加した東大チームを待っていたのは、アウェーの洗礼だった。
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは2012年、ロボットカー競技会「The Freescale Cup(フリースケール・カップ)」の第1回日本大会を開催した。同年10月の決勝で優勝した東京大学チームは、2013年の世界大会に参加する権利を得ていた。
MONOistオートモーティブフォーラムは、2013年8月22〜23日にかけて中国のハルビンで開催された世界大会に同行する機会を得た。本稿では、同年8月21日の日本出発から8月22日の前日練習まで、東大チームの様子を紹介する。なお、8月23日の本戦については、後日リポートする予定だ。
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東大チームの旅程は、成田空港を出発してから中国の上海で飛行機を乗り換え、ハルビンまで向かうという内容になっていた。飛行機の搭乗時間は、成田から上海、上海からハルビンとも約3時間。上海での乗り換えの待ち時間が約2時間だったこともあり、8月21日の17時に日本を出発してから、ハルビンに着くころには0時を過ぎていた。
さらに、ハルビン空港から宿泊先のホテルがあるハルビン市内まで、バスで1時間弱の移動が必要だった。チェックインや荷解きを含めると、就寝は早くても2時ごろになる計算だ。
翌日の8月22日の午前は、世界大会に参加する各国チーム向けのハルビン観光の時間になっていた。午後からの前日練習に間に合うよう、朝7時半出発のバスに乗車する必要がある。このため、東大チームは満足な睡眠をとれなかったようだった。
ハルビン観光で向かったのは、市内を流れる松花江の中にある太陽島公園である。公園内を散策した他、氷で作られた彫像などを展示している氷雪芸術館を訪問した。
太陽島公園から出ようとした直前に、ハルビン観光の参加メンバーを、突然の豪雨が襲った。夏のハルビンでは、5分間ほどスコールのように降るというような雨の降り方が一般的だ。しかし、今回の豪雨は30分近く降り続き、参加メンバーが雨宿りに入ったテントの生地から雨漏りするほど。観光案内していた現地の方も驚いていた。
太陽島公園からホテルに戻って昼食をとった後、会場となるハルビン工業大学の体育館へ移動。ハルビン工業大学はホテルと同じハルビン市内にあるので、移動時間はバスで10分程度で済む。
ここで、今回の世界大会に参加する各国のチームを紹介しておこう。
到着が遅れた台湾代表を除く9チームは、2つの練習トラックを使って20分ずつ、合計で40分間練習を行った。
東大チームの初回の練習を見ていたところ、他のチームと比べてロボットカーのスピードがあまり出ていない。この原因を聞いたところ、「昨日の夜にホテルのコンセントを使ってバッテリーを充電したところ、電源電圧の違いによって充電器のACアダプターが壊れてしまった」という。ホテルのコンセントは、日本のプラグ形状にも対応しているとともに、出力電圧として220Vと110Vの両方が表示されていた。このため、日本で使っていた充電器をそのままコンセントに挿せば110V出力になると考えたのだが、実際には220V出力となり、故障してしまったようだ。
このままでは2回目の練習は、バッテリーの容量が不足して、ロボットカーを走行させられなくなってしまう。ここで救いの手を差し伸べたのが、米国代表のカリフォルニア大学バークレー校である。220V出力に対応する充電器を日本代表に貸し出してくれたのだ。また、東大チームのサポートに付いたハルビン工業大学の学生や、東大チームに同行したフリースケール・セミコンダクタ・ジャパンのスタッフも、体育館内で利用可能な電源を探すなど奔走。東大チームは、2回目の練習でもロボットカーを走行させ、問題点を洗い出すことができた。
アウェーの洗礼を存分に浴びた東大チーム。8月23日の本戦の結果はどうなったのか? 後日お送りする続報を待て!
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