全世界で約1万5000人の大学生が参加するロボットカー競技会「フリースケール・カップ」の国内大会開催が決まった。優勝チームは、各国代表と世界一を争うチャンピオン大会に出場する。
2012年秋、世界規模のロボットカー競技会が国内で開催される。その競技会の名前は「The Freescale Cup(フリースケール・カップ)」。自動車向け半導体の大手メーカーであるFreescale Semiconductorが主催するイベントだ。2003年に韓国で初開催されて以降、米国、中国、インド、ドイツ、フランス、ルーマニア、チェコ、メキシコ、ブラジル、マレーシアなどで開かれるようになっている。現在は、約500校の大学から約1万5000人の大学生が参加しており、今後も拡大する見込みだ。国内大会の優勝チームは、2013年夏に米国で開催されるチャンピオン大会で各国代表と世界一を争うことになる。
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン社長のデイビッド M. ユーゼ氏は、「自動車の最新技術は、先進の半導体と高度な組み込みソフトウェアによって実現されている。自動車技術がさらなる発展を遂げるには、半導体や組み込みソフトウェアの進化だけでなく、これらを扱う技術者の育成も重要だ。そこで、自動車業界の将来を担うであろう技術系大学の学生にとって有用な、マイコンを用いた制御系組み込みシステムを実際に開発し、その性能を競う場として立ち上げたのがフリースケール・カップだ。2003年の初開催から10年目の今年、ついに日本国内でも開催する運びとなった」と語る。
Freescaleは、1970年代から携わっているエンジン制御をはじめ、安全システム、車載情報機器、ボディシステムなど、ほぼすべての分野で自動車向け半導体を展開しており、最近では、組み込みソフトウェアの開発ツールも提供するようになっている。フリースケール・カップでは、同社のエアバッグ制御用の先端マイコン「MPC5604B」やアナログICを用いた制御ボードとソフトウェア開発ツール、実車の1/8スケールのシャシー、走行コースの車線を認識するためのカメラモジュール、モーター、2次電池などで構成される標準キットが提供される。参加チームは、この標準キットと公認のオプションを用いて競技コースを自律走行するロボットカーを開発し、その走行タイムを競うのだ。「勝敗は、MPC5604Bのパフォーマンスを最大限に生かせるような走行制御用の組み込みソフトウェアを開発できるかどうかにかかっている」(フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンの技術本部でジェネラルマネージャーを務めるロス・ハーシ氏)という。
なお、フリースケール・カップは、他のロボットカーイベントのように競技コースは固定ではなく、大会ごとに変更される。このため、ロボットカーの組み込みソフトウェアにはさまざまな状況に対応できるような柔軟性が必要になりそうだ。
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