三菱自動車も“止まる”プリクラッシュを採用、「EyeSight」よりも安価にボルボ、富士重工業、トヨタと比較(1/2 ページ)

三菱自動車は、「アウトランダー」の新モデルに、新開発の予防安全技術「e-Assist」を採用する。e-Assistは、自動ブレーキによって停車して衝突回避や衝突被害の軽減を可能にする「“止まる”プリクラッシュセーフティシステム」を搭載している。このe-Assistと、ボルボ、富士重工業、トヨタ自動車の止まるプリクラッシュを比較した。

» 2012年09月12日 14時21分 公開
[朴尚洙,@IT MONOist]

 三菱自動車が、2012年10月から国内市場向けに販売を始める、SUV(スポーツ多目的車)「アウトランダー」の新モデル。2013年初に発売予定のプラグインハイブリッド車(PHEV)「アウトランダーPHEV」(関連記事1)のベースモデルでもある。

 新型アウトランダーは、同社が新たに開発した予防安全技術「e-Assist」を初めて採用する車両になる。e-Assistは、前方車両との速度差が一定値以下であれば、自動ブレーキによって停車して衝突回避や衝突被害の軽減を可能にする、いわゆる「“止まる”プリクラッシュセーフティシステム」を搭載していることが最大の特徴である。

 止まるプリクラッシュは、Volvo(ボルボ)の「City Safety」や「Human Safety」、富士重工業の「EyeSight」が先行しており、2012年10月に国内市場で発売されるトヨタ自動車の新型「レクサスLS」も「衝突回避支援PCS(プリクラッシュセーフティシステム)」という名称で搭載する予定だ。

「e-Assist」を装着した欧州仕様の新型「アウトランダー」(クリックで拡大) 出典:三菱自動車

ミリ波レーダーと単眼カメラを搭載

 e-Assistは、77GHz帯のミリ波レーダーと単眼カメラという2つのセンサーデバイスにより、3つの機能を実現している。1つ目の機能は、高速走行時や、渋滞時のノロノロ運転などの場合に、前方車両との車間距離を自動的に維持しながら走行する「レーダークルーズコントロールシステム(ACC)」だ。ミリ波レーダーによって検知/維持する前方車両との車間距離は、ドライバーが3段階から選択できる。前方車両がいないときは、時速40〜100kmの範囲で設定できる車速を保って走行する。渋滞時などに前方車両が加減速しても、自車両の動きがぎくしゃくしない上質な走りを実現できるように、綿密なチューニングを施したという。

ACCの動作イメージ(クリックで拡大) 出典:三菱自動車

 2つ目は、先述した止まるプリクラッシュセーフティシステムに相当する「衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)」である。ACCと同様に、ミリ波レーダーを使って前方車両との車間距離や相対速度を検知しており、前方車両との車間距離が減少した場合はドライバーに警報で知らせ、その後もドライバーが回避操作やブレーキを行わないようであれば、自動ブレーキをかけて衝突の回避や衝突被害の軽減を図る。前方車両との速度差が時速30km以内の場合は、自動ブレーキによって減速/停止し、衝突の回避に努める。速度差が時速30km以上の場合は、自動ブレーキの減速によって衝突被害を軽減できる。

FCMの動作イメージ(クリックで拡大) 出典:三菱自動車

 3つ目の「車線逸脱警報システム(LDW)」は、走行中の車線から逸脱しそうな場合にドライバーに警報で注意を促すものだ。高速道路などで時速65km以上で走行している場合に機能し、自車両が走行している車線は、フロントガラスの上部(バックミラーの裏側)に設置される単眼カメラで検知している。なお、車線幅が約2.6m以下と狭い場合には、LDWの作動を一時停止するように設定されており、警報音が頻繁に鳴ることはないという。

LDWの動作イメージ(クリックで拡大) 出典:三菱自動車
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