僕、英語は得意なはずだったのに……。コストと原価は同じだったのですね。オープン価格も勉強しました。そして、今回の注目は14.の「設計見積もり」ですね。
さえているじゃねぇかい。そんじゃ、いきなしいくぜぃ! 図1を見ろ。日曜大工(DIY)店で販売されている補強金具の写真と展開寸法Lだ。
展開寸法とは、洋裁学校で学ぶYシャツやブラウスの「型紙」と同じです。図1の展開寸法Lは、以下の式のようになります(tは板厚)。
L=a+b+0.5×t
=35+35+0.5×2
=71mm
本当の見積もりとはなぁ、「原価計算」というんだ。
【原価計算】
これらの多くの要因を加味し、複雑な計算に基づき算出します。そして、商品の定価が決まり、従業員の給与が決まります。
あっ! 思い出しました。今回のテーマは、「部品や正式図面がある状態」での「原価見積もり」ではないのです。「図面がない構想段階」での見積もり、つまり、「設計見積もり」ですよね。
そうです! 筆者は以前、仙台で開催した講演で、受講者から質問をいただきました。「先生、その『設計見積もり』ですが、当社では、『資材見積もり』と呼んでいますが、それでよいでしょうか?」――もちろん、よいわけです。企業ごとにさまざまな呼び方をしていますが、「設計見積もり」が主たる慣用句です。
設計見積もりの公式は、実に簡単だぜぃ! いますぐに覚えちまいなぁ!
(補足:加工費≒人件費)
筆者のクライアント企業では、経営方針から1.、もしくは、2.を選択していますが、(2)の定義が多勢です。
次は、公式の第1項目である「材料費」を求めます。
小麦、大豆、豚肉、牛肉などの食材は、世界市場において、地域別や産出国別に材料費が異なります。
例えば、みんな大好きなM印のハンバーガーのバンズ(パン)の上には、胡麻(ごま)がまぶされていますね。Mでも、世界中の安い胡麻を求めて入札しています。
しかし工業材料の場合、主要な材料なら、世界中でほぼ同じ価格です。特殊な材料、例えば、重要な材料であっても、主要ではないレアメタルの材料価格は、前記の表現は適切ではありません。
材料費の算出は超簡単ですよね! 図1の展開図を見ながら、次の公式を使って計算してみました。
材料費=W×L×t×(材料のコスト係数)×10−3
=45×71×2×3.38×10−3
=21.6指数(円)
あっという間に求まったじゃねぇかい。
ところで、上式の「材料のコスト係数」とは、一体、なんでしょうか?
「材料のコスト係数」を忘れちゃ困るぜぃ、なんのための前シリーズ、「甚さんの『技術者は材料選択から勝負に出ろ!』」だったのかてぇんだ? ここを見ろ! 係数の「3.38」があるぜぃ! 他の材料もなぁ。
次は、少しややこしい「加工費」を算出します。
まず、プレス型を一般的な単発型とした場合の「工程表」を求めます。それが、表1です。
図1に示した三角リブを有した補強板金は、「4工程」を経て加工される板金部品であることが分かります。
次に、板金部品の設計見積もり時に使う「√(ルート)面積」という独特の単位を求めます。
√(W×L)=√(45×71)
=56.5
ロット1000個、つまり、図1の部品を単発型で1000個生産した場合の、1個当たりの基準加工費を図2から求めます(ここでは、「基準」とは1000個(枚、台)を意味します)。
√(W×L)=56.5ですから、「基準加工費=2指数(円)」と、グラフから読み取れます。また、表1から「4工程」と分かるので、
図1の部品の基準加工費=2×4(工程)=8指数(円)
となります。繰り返しますが、これは1000個生産した場合の1個の加工費です。
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