在阪の組み込み関連企業として、ETWestでは毎年趣向を凝らした展示が話題のコアのブースでは、「コアのM2Mがエンベデッドクラウドを加速!」をテーマに、M2M関連のソリューションを数多く展示していた。
同社は、2010年11月に設立した「新世代M2Mコンソーシアム」に加盟するなどM2M向け組み込みソリューションに力を入れている。会場では同社のM2Mクラウド環境基盤「CORE M2M Service Suites for Server」を軸とした各種サービスを紹介していたほか、同社が得意とするモジュール・ボード開発を生かした特小無線モジュール評価プラットフォームや汎用センサモジュール評価プラットフォーム、NFC/BLE ComboBoardといったセンサネットワークソリューションに注目が集まっていた。
「新世代M2Mコンソーシアムの中でも、M2Mで何ができるかというのは模索しているが、関西のM2M市場もビジネスとしてはこれから立ち上がるといった状況。農業などIT化されていない分野へのM2M展開に期待している」(コア)。
昨年のET2011で「ETアワード2011 最優秀賞」を受賞したエルイーテックのブースでは、その受賞技術である「FUJIMI」を分かりやすく紹介するデモンストレーションを行っていた。
FUJIMIは、外部からのノイズなどでマイコンが暴走状態になっても、瞬時に暴走前の状態に復帰することで、ユーザーには誤動作を感じさせないような状態で使用し続けることができる高レジリエンス(Resilience:復元力、回復力)なマイコン技術だ。2012年4月には富士通セミコンダクターの汎用マイコン「FM3ファミリ」への採用もアナウンスされており、2013年の第1四半期にはFUJIMIを実装した製品が市場に登場する予定となっている。
ブースでは、下部のデジタルカウンタのカウント情報を上部の2つのデジタルカウンタに伝達するボードを展示。伝達経路の途中でノイズを発生させると、FUJIMIを実装していない左のデジタルカウンタはマイコンがリセットされてゼロからのカウントになってしまったが、FUJIMIを実装した右のデジタルカウンタは継続処理が作動してカウントがゼロになるのを防いでいる。写真では下部のカウント(268)に対して上部のカウント(266)と値が2ほどずれているが、これは定期的な割り込みで保存している過去情報を参照して情報を復帰させているためだ。
「短い一定周期で割り込みをかけ、CPUのリアルタイムリセットを行っているのがFUJIMIの特徴。暴走を検出したら、1つ前に保存した正常動作時の情報で復帰を行うため、ユーザーから見ると何もなかったかのように動作し続けることができる。第1弾としては、風向・風速計のようなビルなどの高い場所にあってメンテナンスがしづらい環境にある製品への利用が考えられる。そのほかM2M/センサネットワーク機器への応用や、自動車への展開も視野に入れている」(エルイーテック)。
今年のETWestは講演やセミナーにも力を入れており、在阪企業の大和ハウスによるスマートエネルギーをテーマにした基調講演を筆頭に、Ruby生みの親のまつもとゆきひろ氏による話題のmrubyに関する講演など、東京で開催するET展とはまた違う講演内容を用意していた。また、前回は有料だったテクニカルセミナーを無料で開放するなど、できるだけ多くの人に受講してもらおうという取り組みは来場者にも好評だった。
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