AMDは、1スロット幅仕様のデジタルサイネージ市場向けプロフェッショナルグラフィックスカード「AMD FirePro W600」の出荷開始を発表した。最大6画面出力に対応し、それぞれ独立したオーディオストリームの再生が可能である。
AMDは2012年6月13日、1スロット幅仕様のデジタルサイネージ市場向けプロフェッショナルグラフィックスカード「AMD FirePro W600」(画像1)の出荷開始を発表した。
同製品は、プロフェッショナル向けグラフィックスカードとして初めて、同社の次世代グラフィックスコアアーキテクチャ「グラフィックス・コア・ネクスト(Graphics Core Next:GCN)」と28nmプロセス技術を採用している。デジタルサイネージに求められる高解像度、コンテンツリッチ、マルチディスプレイ環境で最適に利用することができる製品だとし、最大6画面出力に対応、それぞれ独立したオーディオストリームの再生が可能だ。表1に主な特長を示す。
特長 | 利点 |
---|---|
高いディスプレイ密度 | 「AMD FirePro W600」1枚で、最大6画面表示。2枚組み合わせて最大12画面で表示可能 |
DisplayPort 1.2対応 | 高ビットレートオーディオ、高データバンド幅、マルチストリーミングオーディオ機能を提供 |
プロジェクター・オーバーラップ対応 | 最大6台のプロジェクターからの投影をシームレスに表示 |
ベゼル補正 | ディスプレイ解像度を拡大して表示し、1つの大きな画像をマルチディスプレイで表示する際のべゼル幅による干渉や画像のゆがみを回避 |
省電力設計 | 最大消費電力75W。小規模で電力効率の良いシステムへの配備が可能。追加のPCIe電源コネクタが不要 |
AMD PowerTuneテクノロジー | 消費電力管理テクノロジーによりGPUの消費電力を直接制御 |
AMD ZeroCore Powerテクノロジー | アイドル状態のGPU消費電力を最大95%削減 |
表1 プロフェッショナルグラフィックスカード「AMD FirePro W600」の主な特長 |
近年のデジタルサイネージ市場のトレンドからも分かる通り、現在、ディスプレイを複数台設置した大型のマルチディスプレイシステムに注目が集まっている。特に、イベント会場やアミューズメントパーク、大型ショッピングモールなどにおいては、一度に多数の人々に対して広告などの情報を訴求できるため、マルチディスプレイで構成する大型のデジタルサイネージが普及しつつある(関連記事)。
同製品の仕様は、こうしたデジタルサイネージ市場を取り巻くトレンド、ニーズを捉えたものになっている。6つのMini DisplayPort(DisplayPort 1.2対応)出力を搭載しており、ディスプレイ1台当たりの最大解像度が4096×2304、30BPP(60Hz)。1つのシステムに同製品を2枚組み合わせて利用することで、最大12画面での表示が可能になる。OpenGL 4.2およびDirectX 11をサポート。同社が開発したビデオカード用メモリ技術GDDR5(Graphics Double Data Rate 5)を2Gバイト搭載し、バスインタフェースとしてPCI Express 3.0×16を備える。
同社がデジタルサイネージ市場向けにグラフィックスカード製品を本格投入し始めたのは3年ほど前からだという。同製品の発表に併せ来日した同社 グローバルセールス&ビジネス開発担当ディレクターのEdward Caracappa氏によると、同社のデジタルサイネージ市場向けグラフィックスビジネスの売り上げも急拡大しているとのことだ。MONOist編集部では、この辺りの戦略について、同氏から詳しい話を聞く機会を得た。後日あらためてその模様をお伝えしたい(後日公開予定)。
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