茨城予選から本戦に勝ち進んだミクロテックは、名前の通りミクロな加工(精密微細加工)を手掛ける。「恐らく、茨城大会中で最も重いコマ」だという同社のコマは、胴体部は銅タングステン製、軸心は粉末ハイス鋼製。芯(しん)の先端や胴体の中を削り、重心が低くなるように工夫した。
ミクロテックの本社は神奈川県横浜市だが、今回は自社工場のある茨城県石岡市の企業としてエントリーした。
心技隊員であるケイテックデザイン(神奈川県厚木市)は機械加工や治具設計・製作などを手掛ける。同社は、内側を軽く外側を重くした慣性コマで勝負に挑んだが、残念ながら、チーム名のように「目覚めなかった」ようだ。コマの芯材に、春らしい桜の木を使った。そういえば、チーム名も、どことなく春らしい。
今回優勝した長野県内の3次元CADユーザーグループ「SWCN(SolidWorks Club of Nagano)」が持ち込んだコマについては、まだ内緒(ないしょ)……。詳しいことは、本シリーズの第4回の記事で明かされる。
今回は、横浜大会で活躍したチームも幾つか茨城大会に参戦した。
「チタンクリエーター福井」は、「眼鏡の街」と言われる福井県鯖江市内のチタン加工メーカーたちが中心となる技術集団だ。その一員である西村金属は、横浜大会では「チーム おちむら金属」として出場した。今回は、そのときに持ち込んだ逆さゴマを基に改良したコマで参加した。
落合氏、設計放棄!? その真相とは: | |
---|---|
⇒ | 「超カッケー!」チタン製“逆さゴマ”が回る仕組み |
しかし事情あって、逆さゴマではなかった。前回の逆さゴマの重心位置を改良するためには、コマの中心部をさらに削る必要があったそう。しかし、重量面で不利なチタンで、これ以上の軽量化は厳しいと判断し、今回はやむを得ず通常のコマで参戦したということだ。
このコマには、チタンコマの原案を考えたモールドテックの代表取締役 落合孝明氏の顔写真がレーザー彫刻されている。
今回は準優勝と健闘した「チーム義貞(よしさだ)」(両毛ものづくりネットワーク)の「2号」。横浜大会のコマと基本的な設計や外観は変わらないが、コマの先端部(設地部)をシャープにしたことで、回転性能が格段にアップした。前回のコマは1分30秒ほどしか回らなかったが、今回のコマは3分以上回るようになったということだ。ちなみに前回のコマは先端を丸くすることで、競技台上で大きく動き回らせることを狙っていた。
作業場の廃材を利用したもの。古くなったφ6mmのタングステン製のエンドミルをコマ切れにし、余っていたSKH材を旋盤加工で形を整えてレンコンのように穴を開けたベースにそれらを詰め、本体の重さを稼いだ。ベースの外形は正12角形にすることで、攻撃力をアップしたと言うことだ。
バネメーカーのチーム五光発條(神奈川県横浜市)の「ティンカー2号」は、前回同様、ベアリングを内蔵した二重構造と凝った形状だ。横浜大会のときのコマからさらに改良設計し、その形状も大きく変わった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.