横浜大会で準優勝したシンコウギヤー・カキタ製作所連合チーム(群馬県の歯車メーカーと精密切削メーカーの共同チーム)は、前回同様に「誰でも安定して回せるように」という考えに基づいてシンプルに製作した。材質は、SUS304。
以下では、残念ながら本戦に出られなかった、茨城予選チームのコマを紹介する。
今回は、製造業以外からも参戦。茨城県日立市の害虫駆除業者のアンフィニプロダクトだ。同社ではコマ製作はできないため、MONOistチームとも対戦した大塚製作所がコマ製作した。個性的なコマながら、安定してよく回るコマに仕上がった。
大塚製作所が手掛けたコマは、砲金製。取手部にローレットを施し、3つの溝にゴム製のパッキンをはめ込んだ。相手のコマが接触したときに、衝撃を緩和するためか。
樹脂加工専門の創和工業(茨城県日立市)は、金属製のコマが並ぶ中、あえて樹脂製のコマで挑んだ。同社は、10種類の樹脂を駆使したコマを製作(内訳は以下)。接着剤は一切使わず、内側から外側に向かって材料を重ねて、圧入していった。最後は、バフ研磨で仕上げた。
使用した材料(中心から外周部へ)
茨城県ひたちなか市のバルブ・ポンプ加工メーカー 清水ノーヅルのコマはリン青銅製。テーパ軸を採用し、回転力アップを狙った。比重が大きいコマに対し、回転力で対抗しようと考えたというが、先端部が長過ぎた故にバランスが良くないコマになってしまったそうだ。「20回に1回は、良く回る」(清水ノーヅルの奈良信幸氏)。
CNS旋盤の切削加工を専門とするエムテック(茨城県ひたちなか市)のコマは、1チャックで加工し、最大径部と取手部の同軸度を0.003mmまで追い込んだ。純銅で製作し、取手部には滑り止めのゴムを巻いた。
茨城県日立市の金型メーカー 光和精機製作所が製作したコマは、本体が銅タングステン製で、グリップ部がTB340(チタン)製。全周囲を研削仕上げ。接地部には、P-in処理(三和メッキ)。外周部はニッケルメッキ。P-in(テフロン系)処理で摩擦を軽減したということだ。
このシリーズの次回は、光和精機製作所 代表取締役の佐藤貴之の講演の概要を紹介する。
精密治具・刃物などを製作する野上技研(茨城県常陸大宮市)は、刃物にも使われる超硬をワイヤーカットで加工してコマを製作した。
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