東芝、パナソニック、ヴィッツの3社は、ISO 26262に準拠したソフトウェア開発プロセスに関する認証を共同で取得した。開発プロセスはそれぞれが独自に構築したものだが、コストを削減したり、情報収集の機会を増やせたりすることから、認証取得のための活動で相互に協力した。
東芝、パナソニック、組み込みソフトウェアベンダーのヴィッツは2012年3月29日、自動車向け機能安全規格であるISO 26262に準拠したソフトウェア開発プロセスについて、最も高いレベルの安全性が要求されるASIL(Automotive Safety Integrity Level)-Dまで対応可能であるという認証を共同で取得したと発表した。認証機関はドイツのTUV SUDである。
TUV SUDからの認証は、3社がそれぞれ独自に構築したISO 26262に準拠するソフトウェア開発プロセスに対して発行されている。「ソフトウェア開発プロセスそのものは、3社がそれぞれ独自に開発したが、TUV SUDから認証を取得するための活動については相互に協力した」(東芝、パナソニックの広報担当者)という。
3社の認証取得活動は、ヴィッツがコンサルティングを行う形で主導した。ヴィッツは、ISO 26262のベースとなった一般産業機械向けの機能安全規格であるIEC 61508に準拠したソフトウェア開発プロセスの認証を取得しており、機能安全規格の認証取得に関するノウハウを保有している。東芝とパナソニックは、ヴィッツの顧客であり、3社の相互協力はヴィッツが仲介したことによって実現した。
3社は2011年4月から相互協力を開始した。その後、同年6月と11月に、ドイツでTUV SUDとのテクニカルミーティングを開き、2012年1月には国内でTUV SUDの最終監査を受けている。その後、2012年1月末に合格判定を得て、2012年2月末〜3月末にかけて3社がそれぞれ認証を取得した。
3社が協力した理由は2つある。1つは、認証取得に必要なコストの削減である。「例えば、TUV SUDが来日して監査を行う際の旅費を折半したり、認証機関に支払う認証収録コストをディスカウントしたりできる」(ヴィッツ)という。もう1つの理由は、情報収集の機会を増やせることだ。通常、1社で認証を取得する場合、認証機関とのテクニカルミーティングの期間は2日間しかない。一方、共同で認証取得を行う場合、互いの機密事項の範囲外であれば他社のテクニカルミーティングに同席できるので、情報収集のための時間をより多く取れる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.