研究室で高い変換効率を達成後、量産プロセスに落とし込む。太陽電池開発の歴史は常にこの流れに沿っている。米SunPowerは、変換効率24%の太陽電池セルの研究開発を完了し、量産を開始した。2012年内には販売店で購入できるようになる。
米SunPowerは2012年3月27日(現地時間)、変換効率が24%と高い単結晶Si(シリコン)太陽電池セルの研究開発段階を終え、量産を開始したと発表した。同社によれば結晶Si太陽電池セルとして最も変換効率が高いという。
量産を開始するのは同社が「Maxeon」と呼ぶ太陽電池セルの第三世代品(図1)。変換効率を高めるため、セル表面の開口率を改善した。表面電極を裏面に配置するバックコンタクト方式を用いて、受光面積を確保した。
発表資料の中で、同社のプレジデント兼CEOであるトム・ワーナー(Tom Werner)氏は「変換効率の世界記録を達成した太陽電池セルを研究室から量産へと移行できた。当社はMaxeonセルで引き続き太陽電池業界を主導する」と述べている。
同社は単結晶Si太陽電池に特化した企業。太陽電池セルの年間製造能力は約1GW。現在量産中の太陽電池セルの変換効率は、最大約23%である(同社の太陽電池セルを採用した例:「住宅用で最高変換効率、東芝が太陽電池モジュールを発売」)。
新セルを採用した太陽電池モジュールの出荷も2012年内に開始する。モジュール化した場合の変換効率は、モジュール表面の面積の全てをセルでは利用できないため、20%超になるという。同モジュールにはMaxeonセルを128枚搭載する。
なお、同社は変換効率が20.4%の太陽電池モジュール「E20/333」(96セルを使用)の販売を2011年6月に既に開始している。SunPowerによれば、太陽電池モジュールの変換効率が20%を超えたのは同製品が業界初だいう。このとき採用したMaxeonセルの変換効率は22.9%である。
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