米国エネルギー省(DOE)の予算で、「Solid State Lighting(固体照明)」が、2020年までの長期目標で進行中であり、有機EL照明が投資対象に含まれています*。
企業連合の取り組み例として、モトローラがゼロックス、ダウコーニング、NISTと共同で、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、RFIDといったデバイスやプリンティング法によるディスプレイの開発が1,500万ドルの開発費を投じて、進められています。
Konarka Technologiesの有機薄膜太陽電池は、低効率ながら、塗布型太陽電池として既に実用化されています(「未来の太陽電池をドイツ企業が開発、有機薄膜型で最高効率達成」記事本文)**。
プリンテッド・エレクトロニクスの研究開発に取り組む大学としては、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア大学バークレー校、レンセラー工科大学、アリゾナ大学、イリノイ大学、オレゴン大学、パデュー大学などがあります。
* 米国エネルギー省が固体照明の開発に注力する訳については知財コンサルタントが教える業界事情(11)なぜ、パナソニックは有機EL照明事業に熱心なのかを推察するを参照。
** Konarka Technologiesとコニカミノルタの提携 有機薄膜太陽電池関して、2010年4月から、共同開発および生産から販売までの包括提携を発表しています(2010年3月)。
韓国では、サムスングループ(以下、サムスン)を中心に、インクジェット・プリンティングを用いて、RFIDやディスプレイを製造する技術開発に取り組んでいます*。さらには、大学でも多数のプロジェクトが進められているようです。
サムスン電子(Samsung Electronics)、LG電子(LG Electronics)、ポスコ(Posco)などの韓国大手企業とHicel、Naraenanotec、Paruなどの中小企業がコンソーシアムを形成して、プリンテッド・エレクトロニクス技術の実用化を目指しています。そして、韓国印刷電子産業協会は、韓国の大企業・中小企業と生産技術研究所などがコンソーシアムを形成し、未来産業先導技術開発事業である「印刷エレクトロニクスの超精密連続生産システム」の課題に応募し、開発テーマとして選定されたと、2011年12月8日に公表しています。その際、ジョンアンジョン印刷電子工業会事務局長は「プリンテッド・エレクトロニクス市場は、日本とヨーロッパを中心に主導権確保の競争が激烈だ」とし、「単なる技術力確保ではなく、実際の事業化につなげる」と発言したそうです。
開発テーマには、CIGS(CuInGaSe:銅・インジウム・ガリウム・セレン)太陽電池、OLED(有機EL)照明、フレキシブルPCB(Printed Circuit Board:プリント基板)、RFIDなどの分野があります。2012年から6年間にわたり推進され、初年度となる2012年の予算は約50億ウォンとのことです。
* サムスンのプリンティング・エレクトロニクスへの取り組み 「発明の名称から、インクジェット・プリンティングと分かるサムスンの日本出願特許」が既にあります(サムスンにとって、日本特許出願は外国特許出願)。
台湾では、ITRI(工業技術研究院)を中心に、ディスプレイ、太陽電池、バッテリー、センサー、メモリなどプリンタブル・エレクトロニクス関連技術の開発が進められています。ちなみに、2007年3月、ITRIは「Flexible Electronics Industrial Alliance(FEIA)」を設立しており、ここには研究機関と企業を合わせ55の団体が参加しています。
そして、「Wall Street Journal誌の各種受賞履歴*」から、ITRIの技術開発/試作の成果には次のようなものがあることが分かります。
* 台湾ITRI 『Wall Street Journal』の各種受賞履歴参照。
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