ルネサスの「V850E2/PJ4-E」は、自動車向け機能安全規格ISO 26262に対応する走行モーター制御用マイコンだ。従来は外付けしていたレゾルバ用変換器ICが不要になる機能も搭載している。
ルネサス エレクトロニクスは2012年1月、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の走行モーター制御用マイコン「V850E2/PJ4-E」を発表した。自動車向け機能安全規格ISO 26262に対応するとともに、従来は外付けしていたレゾルバ用変換器IC(RDC IC)が不要になる機能を搭載した。同年3月にサンプル出荷を開始する。サンプル価格は5000円。2013年4月から5万個/月の規模で量産を始める計画だ。
V850E2/PJ4-Eは、2010年11月に発表した車載マイコン「V850ファミリ」の第4世代品(関連記事1)の最新製品である。プロセッサコアは、デュアルコア構成で128MHz動作の「V850E2M」を搭載した。これら2個のコアを用いて、1個のコアの演算結果を常にもう1個のコアが監視するデュアルロックステップ動作を実現している。デュアルロックステップ動作により、ISO 26262で最も高い安全性が求められるASIL Dへの対応が可能だ(関連記事2)。ただし、2個のコアを、並列処理によって処理性能を高めるために利用することはできない。
また、モーターの回転角度を検知するレゾルバセンサーの種類によって異なる特性に最適化できる、プログラマブルなレゾルバセンサーインタフェースを内蔵する。RDC ICに搭載されている、レゾルバセンサーに入力する励磁信号を生成する機能や、角度演算に用いるA-D変換器なども集積した。これらにより、レゾルバセンサーに合わせて選択/外付けしていたRDC ICが不要になるという。他にも、発電機用や走行用といった2個のモーターを1チップで制御できるように、A-D変換器や多機能3相PWM(パルス幅変調)タイマーを2系統備えている。
その他の仕様は以下の通り。内蔵メモリの容量は、ROMが1Mバイト、RAMが80Kバイト。他のECU(電子制御ユニット)や周辺ICとの通信用に、CAN(Controller Area Network)、CSI(クロック同期式シリアルインタフェース)、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)などのインタフェースを備える。外付けトランジスタを追加することで、5Vの単一電源による動作が可能になるレギュレータ回路も内蔵している。動作温度範囲は−40〜125℃。パッケージは、外形寸法が20mm角で144端子のHLQFPとなっている。
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