次回から具体的な手法の内容について詳しく解説していきますが、その理解を深めるために、今回はその概要について少し説明をしておきたいと思います。
性質の異なるものは、分類して検討を行う必要があります。手法というべきか問題はありますが、データを取り扱う上に置いては、重要な考え方であるといえます。層別して、比較することにより、さまざまな知見が得られやすくなる特徴があります。
チェックシートは、事実を正しく表す正確なデータを取るためには、適切なチェックと正確な測定が必要です。そのために、誤りや洩れをなくして有効なデータや記録を取りやすくするために活用されます。
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Pareto)にちなんで名付けられた図です。例えば、不良現象の項目を、不良損失の大きい順に並べた棒グラフと、大きい順に足していった累積損失の全体に対する比率を折れ線グラフで示し、不良問題の重点を明確にして解決策を求める手法です。
結果と、それに影響を及ぼす要因を「魚の骨(Fishbone)」のよう図示化し、整理して記述する方法です。要因の大別方法としては「5M(Man、Machine、Material、Method、Measurement)」を使うのが一般的です。
柱状図とも呼ばれ、データの分布状態を知りたいときに使います。分布の形を見ることができ、問題が平均値にあるのか、バラツキにあるのかを見極めて改善を行います。
製造工程の品質管理を進めていく上で有用な手法の1つです。製品の品質が各製造ロットでどのようなバラツキで推移していくかを図に表したものです。管理図は、製造工程が管理状態にあるかどうかを調べたり、製造工程を正しく管理状態に保つなどの目的で利用されます。
2つの変量の間の関係を表した図です。2種類のデータの間に相関がある場合は、縦軸の項目を管理することにより、横軸の項目を目標値に管理できます。
データの視覚化としてよく用いられる方法です。棒グラフ、円グラフ、帯グラフ、折れ線グラフ(推移グラフ)、レーダー・チャートなどが多用されます。
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次回から図示化手法について個別の解説を行いますが、それに先立ち、なぜ図示化が必要か、データ処理の基本的な考え方(統計的な考え方)、最後に現場の管理監督者に必要な品質管理手法について説明しました。
個別の手法については、ほとんどの人が知識として知っているでしょう。しかし、基本的なことが理解できておらず、うまく活用し切れていないのが実情ではないでしょうか。
品質管理手法の基本的な考え方は「事実に基づく」ということです。多くの現場における品質管理や改善活動で、「……だろう」「……のはずだ」というような推測で行動を起こしている場面を見掛けます。現場の活動は、「事実に基づく改善や管理を行う」ということが重要な要素であるということを肝に銘じておかなければなりません。
そのためには、「3現主義(現場で現物を診て、どのような状況にあるのか現実を確認)」の結果をどのように誤りなくデータとして表すかということが大切です。品質管理では、データが大切です。さらに、事実を正しく表す正確な客観的なデータをどのように取るかということと、その事実をどのような手法を使って表現(図示化)するかということに尽きます。このことをシッカリと理解していただきたいと思います。次回(第9回)はこちら。
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MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)
日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、および日本IE協会、神奈川県産業技術交流協会、県内外の企業において管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。
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