ホンダは日本、米国、欧州に次ぎ、中国でもEVの実証実験を開始する。中国市場は低価格なガソリン車に需要の中心があるものの、環境対応車の実験や現地生産には意味があるとして踏み切った。2012年には中国でEVの現地生産を開始する。
ホンダの中国現地法人である本田技研工業投資は、2011年11月8日、中国の5大都市の1つ広州市において、EV走行の実証実験を開始すると発表した*1)。広州市政府の他、広州汽車集団股分*2)と共同で実施する。実験期間は最長の場合、2014年4月まで。2012年には広汽本田汽車が中国でのEV現地生産を開始する予定だ*3)。
*1)EVの実証実験地域として日本、米国、欧州に次ぐ4地域目に当たる。なお、欧州では2輪EV(EV-neo)の実験のみを実施している。
*2)正しくは人偏に分。
*3)ホンダの米国法人American Honda Motorは、2011年11月16日に開幕するロサンゼルスモーターショー(Los AngelesAuto Show)において、フィットEVの市販モデルを公開する予定である。
実証試験で使うEVは「フィットEV」(図1)。「フィット」の車体からエンジンを取り除き、リチウムイオン電池とモーターを搭載したもの。モーターは、水素燃料車「FCXクラリティ」と同型(最高出力92kW)である。最高速度は時速144km、1充電当たりの走行距離は150km以上(NEDCモード*4))。日本国内の実証実験と同型の車両を使う。
*4)NEDC(New European Driving Cycle)とは、市街地や郊外の走行を再現したパターンを組み合わせた燃費計測手法。フォルクスワーゲンによれば、日本のJC08モードと比較すると走行速度が高く、停止回数も多いため、厳しい条件であるという。
実証実験は、1台のフィットEVを使って開始する。2012年前半に2台を中国国外から輸入して追加する予定だ。
広州でのEV実証実験の目的は2つある。まず、一般道を走行することで、実際の使用状況下での技術的な課題を抽出し、中国向けEVの開発にフィードバックすることだ。
もう1つの目的は、1充電当たりの走行距離と充電パターンについての情報を得ることだ。充電パターンには、充電頻度情報と充電場所の情報が含まれる。これにより、充電インフラ整備に向けた提言を行うという。
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