NEDOが手引書を制作する際にデータを抽出した2カ所のメガソーラーは、そもそもどのような性格を帯びた太陽光発電所だったのだろうか。
2カ所のメガソーラーはシステムの構成や設置条件、実証した内容などさまざまな点で異なっている。一言でいえば、雪国型か、晴天型かである。
北海道電力と稚内市が委託を受けた容量5MWのメガソーラー「稚内サイト」(図4)では日照条件によって出力が変化する太陽光発電の出力平準化実験に重点を置いた。これはメガソーラーを系統に連系(接続)する際には欠かせない技術だ。メガソーラーの大出力によって系統側の電圧や周波数、波形のゆがみなどさまざまな影響が現れる。
例えば、出力変動抑制制御を実行しないと、出力の最大変動率が66%に達していたが、1分ごとに制御すると4%に低下することが分かった*1)。
*1)NAS電池の容量が太陽光発電の容量に比べて小さいため、最大幅の発電変動には本来対応できない。このため、発電実績の移動平均値を目標値として計算し、制御することが多い。稚内サイトでは出力変動幅の中心値を目標値として使うことで、最大変動幅をより小さくできたという。
年平均気温7度、年間降雪量600cm以上に達する同地の気象条件の影響も確かめた。具体的には、気象予測データを利用して、出力制御の精度を高めた。
山梨県北杜市とNTTファシリティーズが委託を受けた容量1.8MWの「北杜サイト」(図5)では多様な太陽電池について検証を重ねた。北杜市は国内でも最も年間日照時間が長い地域であり、夏季の気温も低く、設置条件の良いメガソーラーの一例といえる。
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