国内の太陽電池市場の成長が著しい。一般住宅向け出荷量が依然として8割を占めるが、企業向けは対前年比2.8倍近くにまで増えている。輸出先では欧州に陰りが見え、欧米を除く海外が全体の2割前後を占めるまでに増加した。
太陽光発電協会(JPEA)は2011年5月20日、国内企業29社が2010年度(2010年4月〜2011年3月)に出荷した太陽電池セルと同モジュールについての統計を発表した(図1)。
2011年度の総出荷量は対前年度比で152.2%の253万8814kWに成長した。2008年度は1.2倍強、2009年度は1.5倍弱成長しているため、成長率自体が高まっていることが分かる。
このうち、106万2914kWが国内市場で流通した。内訳は国内生産が対前年比162.0%の89万5212kW、海外からの輸入が対前年比238.2%の16万7702kwである。
同協会の推定によれば、国内市場で流通した106万2914kWを市場規模に換算すると約6600億円になるという。この市場規模には太陽電池セルやモジュール以外に設置工事費も含まれている。国内市場規模は2009年度の169.2%に成長したという。
同協会がまとめた太陽電池セルとモジュールの生産能力は、2009年3月時点で183万7000kW、2010年3月時点で253万7000kW、2011年3月末時点で576万2000kWである。2012年3月末の計画生産能力は870万2000kWに達すると予測した。この数字からは、今後、太陽光発電に対する政府の積極的な取り組みや市場の要求があったとしても、十分対応できることが読み取れる。
同協会は、2010年度第4四半期(2011年1月〜3月)の出荷統計もあわせて発表した。2010年第4四半期の太陽電池セルと太陽電池モジュールの総出荷量は、62万7575kWであり、対前年度同期比119.4%となった。なお、対前期比では91.9%となり、減少している。
総出荷量は3つの項目からなる。全体の35.7%(22万3804kW)を占める国内生産と9.5%(5万9625kW)を占める海外からの輸入、54.8%(34万4146kW)を占める輸出だ。国内生産分と輸入分が日本国内の市場に流通する。
最大の輸出先は欧州であり、輸出全体の54.9%を占めた。ただし、輸出量は落ち込んでおり、対前年度同期比81.9%の18万8955kWにとどまった。次いで米国向けが輸出全体の24.0%を占め、対前年度同期比120.7%(8万2457kW)となった。最も成長が著しいのはその他の地域向けであり、前年同期比505.7%の7万2734kWである。全輸出の21.1%を占めた。
国内生産分と輸入分を足し合わせた国内出荷向けについては、用途別の内訳を公開した。最大の用途は個人住宅用発電システムであり、国内出荷の80.7%(22万8723kW)を占めた。対前年同期比で134.6%である。出荷量が多く、伸びが著しいのは公的施設を除く産業事業用だ。企業の事務所や工場に設置する。対前年同期比で163.8%の3万8072kWとなった。以上の2つの用途で国内出荷の94.1%を占める。
太陽電池の材料別では、Si(シリコン)多結晶の割合が54.0%、次いでSi単結晶が30.0%である。前年同期比で比べるとSi多結晶は131.8%に成長したが、Si単結晶は90.8%にとどまった。最も成長が著しいのは太陽光発電所や工場の屋根への設置に向くSi薄膜である。対前年度同期比で187.9%となった。全体に占める構成比は13.5%である。
なお、輸入に占める割合では99%以上がSi多結晶とSi単結晶である。輸出でもこの2種類が76.4%を占めた。
今回の調査対象は、以下の29社である。AGC硝子建材、Qセルズジャパン、YOCASOL、カナディアン・ソーラー・ジャパン、カネカ、川崎重工業、京セラ、グリーンテック、クリーンベンチャー21、神戸製鋼所、サニックス、サンテックパワージャパン、三洋電機、シャープ、ショット日本、新興マタイ、積水化学工業、ソプレイソーラー、ソーラーフロンティア、長州産業、東芝、トリナ・ソーラー・ジャパン、パナソニック電工、富士電機システムズ、フジプレアム、本田技研工業、ミサワホーム、三菱重工業、三菱電機。
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