航空測量大手の国際航業グループが太陽光発電事業を加速させている。2011年3月に完成した宮崎県の「都農(つの)第2発電所」に続き、2012年4月までに全国7カ所で太陽光発電所を建設する予定だ。
「電力の全量買い取り制度が開始される2012年4月1日までに、合計で20MWの太陽光発電所を全国7カ所で完成させる」。国際航業グループの山下哲生国際航業ホールディングス会長は力強く言い切る。現時点で具体的な建設予定地は公表されていないが、既に関係する地方自治体との調整を完了しているようだ。
太陽光などで発電した電力の全量買い取りを電力会社に義務付ける「再生可能エネルギー固定価格買い取り法案」が国会で審議されており、順調に行けば2012年4月1日から施行される見通しで、それを前提に太陽光発電所の建設計画を進めている。
国際航業グループは2010年からの3カ年中期経営計画において「グリーン・インフラ企業への挑戦」を掲げ、既存の地方自治体向けコンサルティング事業や不動産事業に続く第3の事業として、太陽光発電による「グリーンエネルギー事業」に取り組んできた。
2009年には、ヨーロッパで太陽光発電事業を手掛けるドイツのGeosol Groupを子会社化。そのノウハウを生かして2010年4月に、宮崎県の都農町にあるリニアモーターカーの実験線高架上に太陽光パネルを設置し、実証用発電施設「都農第1発電所」(50kW)を建設。さらに1MWの発電能力をもつメガソーラー「都農第2発電所」(図1、図2)を2011年3月に完成させ、太陽光発電事業に本格的に参入した。
同グループは地方自治体との協力関係をもとに、各地域で計画されている太陽光発電所の開発案件情報を収集しており、2011年3月時点で466MW相当の開発案件を把握しているという。「そのうちの20MWは2012年4月までに完成させるが、できるだけ早く100MW規模の供給体制まで持っていきたい」(山下会長)。この100MWという規模は、国内の10電力会社が2010年度から12年度の3カ年で建設を予定している太陽光発電設備の供給量98MWに匹敵する。
最大の問題点は採算性にある。山下会長によれば、都農第2発電所の建設コストは5億円で、電力会社による買取価格が1kWh当たり50円で採算ラインだという。当面の買取価格は40円前後が予想されるため、建設・運用コストの低減が大きな課題になる。「現時点で1MW当たりの建設費を4億円くらいまで下げることができる。仮に買取価格がドイツ並みの35円に下がっても利益を出せるように頑張るしかない」(同会長)。太陽光発電事業の収益が電力会社の買取価格によって左右されることから、今後の事業拡大に向けた不安もうかがわせる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.