OBJET社製RP機を販売するファソテックのブースでも目を引くRPの活用例があった。同社が円谷プロダクションとともに造形を進めたウルトラマンゼロの等身大のモデルである。
従来であれば、このようなモデルの原型の作成は手作業であった。しかし、3次元スキャンから、3次元データの作成、さらには3次元プリンタによる造形という流れが出来上がってきている。これの何がよいかといえば、デジタル化にキャラクタ資産の管理、品質管理などが可能になってくるということだ。円谷プロでは既にデジタルアーカイブというところにも、視野を置いている。既に古い着ぐるみが劣化してきており、それの維持も重要であるが人が造り直すと、その度に変わってきてしまい徐々に品質を維持することが難しくなってきている。しかし、そのような資産もデジタル化することで、映像と造形物を一体として管理し品質を維持することが可能になってくる。このような試みを支援したファソテックのような取り組みは、3次元プリンタや3次元スキャンなどの、これまでなじみのない業界への浸透や拡販へとつなげていくものと思われる。
RPの普及は目覚しいものがあるが、やはり最終的な試作としては、本物の素材を使って精度を気にして作りたいというニーズはなくならないであろう。しかし、通常そのような試作を行う場合、どうしても図面でのやりとりが中心になって週の単位でのやりとりになるほか、見積もりもなかなか確定しないという状況が続いている。
2年ほど前に日本法人を設立した、プロトラブズはそのようなニーズに沿ったサービスを提供している。この会社の売りは、全てオンラインで3次元データをやりとりすることで試作業務が完結するということだ。切削加工の場合の納期は、部品にもよるが最短で1日、射出成形だと3日だ。コストや見積もりもオンラインでデータをアップ後に1日で正確なものが出るとのことだ。国内で試作を頼む場合には、このコスト感とスピード感で頼めるところが少ないため、国内でも急速にユーザーを増やしているようだ。ただし、製造する部品の大きさの制限や、特殊な加工には対応していないようだが、恐らくは試作の大部分であろうと思われる、一般的な部品を、スピード感を持って提供するということで差別化を図り、国内でのさらなる顧客の獲得を狙っているようだ。
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