富士通セミコンが走行モーター用マイコンを投入、レゾルバ‐デジタル変換回路を内蔵

» 2011年04月28日 00時00分 公開
[EDN Japan]

 富士通セミコンダクターは2011年4月、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の走行モーターの制御用マイコン「MB91580シリーズ」を発表した。同月下旬からサンプル出荷を開始している。サンプル価格は2000円。2014年度時点で、年間200万個の販売を見込んでいる。

 同社は、独自開発のプロセッサコアを搭載するマイコン製品群を車載用途向けに展開している(図1)。この中で、MB91580シリーズは、32ビットのプロセッサコアを搭載する「FRファミリ」に属している。同社の車載マイコンで、走行モーター用の製品は初となる。


図1 富士通セミコンダクターの車載マイコンのロードマップ 図1 富士通セミコンダクターの車載マイコンのロードマップ 中央にある赤色の実線で囲んだ製品が、「MB91580シリーズ」である。

 MB91580シリーズの最大の特徴は、EV/HEVの走行モーターのセンサーとして広く用いられているレゾルバと接続するためのインターフェース回路を内蔵していることである。このインターフェース回路は、モーターの電流値を検出するのに用いる12ビットのA-Dコンバータと、レゾルバによって検出したモーターの回転角度を電気角と呼ばれるデジタル値に変換するレゾルバ‐デジタル変換(RDC)回路から構成されている。富士通セミコンダクターは、「レゾルバと接続するためのインターフェース回路を内蔵した走行モーター用マイコンは業界初」だとしている。

 ほかにも、電気角に対応した正弦値と余弦値を出力するための演算回路も内蔵している。これらの値は、モーターのフィードバック制御を行う際に必要となる。従来はほかのICや部品で実現していた機能をマイコンに内蔵していることから、MB91580シリーズを用いることにより部品コストを削減することが可能である。

 また、MB91580シリーズのプロセッサコアは、処理能力が160DMIPS(Dhrystone MIPS)と比較的高く、浮動小数点演算専用ユニット(FPU)も搭載している。このため、モーターの制御に必要となるベクトル変換やPID(Proportional Integral Derivative)制御の処理を高速に処理できる。

 MB91580シリーズには、メインフラッシュメモリーとメインRAMの容量が異なる「MB91F585」、「MB91F586」、「MB91F587」の3品種がある。メインフラッシュメモリー/メインRAMの容量は、それぞれ、MB91F585が576Kバイト/48Kバイト、MB91F586が832Kバイト/64Kバイト、MB91F586が1088Kバイト/96Kバイト。製造プロセスは90nmである。

 以下の仕様については、3品種とも共通している。動作周波数は128MHz。作業用フラッシュメモリーの容量は64Kバイトで、バックアップRAMの容量は8Kバイト。外部インターフェースは、多機能シリアルインターフェースが5チャンネル、FlexRayが1チャンネル、CAN(Controller Area Network)が3チャンネル。パッケージは、LQFP-144となっている。

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