現在、既にARM社のCortex-M1というマイクロコントローラのハードIPとプログラマブルデバイスを統合した製品が出荷されています。しかし、半導体製品の中でFPGAが最先端のデバイスとなり、かつ、組み込みシステムにおけるFPGAの役割が重要であると認識されつつある今日、新時代のプロセッサとFPGAを統合し、従来のSoCに取って代わる製品がいよいよ現実のものになろうとしています。
具体的には、アルテラ社とザイリンクス社から、ARM Cortex-A9 MPCoreというアプリケーションプロセッサのハードIPとFPGAを統合した製品が今後リリースされる予定です。アルテラ社では、この将来製品群を「SoC FPGA」と呼んでいます。Cortex-A9 MPCoreを統合するSoC FPGAは、さまざまなアプリケーションでの採用が期待されますが、その中でも特に高いプロセッシング能力を必要とするアプリケーションでその強みを発揮できるといえるでしょう。プロセッサコアの性能から考えても妥当だといえます。
では、「それ以外の」、言い換えると「もっと性能が低くてよい」というニーズに対してはどうすればよいでしょうか。
その1つの解が、アルテラ社が打ち出した「エンベデッド・イニシアチブ」にあります。これはプロセッササブシステムに対する要件に従ってプロセッサIPを選択できるようにし、かつ、プロセッサにかかわらずシステム設計のツールフローを共通にするというものです。
プロセッサは柔軟性やスケーラビリティ、機能分散を狙うことができるソフトコアIPと、高い性能を出すことができるハードコアIPを選択できます。ソフトコアIPとしては、Nios II(アルテラ社独自アーキテクチャ)、MP32(MIPS32 4KEcアーキテクチャ)、ARM Cortex-M1、Freescale ColdFire V1、またハードIPとしては前述のARM Cortex-A9 MPCoreを搭載したSoC FPGAとなります。もちろん、SoC FPGAの中にソフトコアプロセッサIPを追加することも可能です。ソフトコアプロセッサのラインアップにMIPSアーキテクチャが追加されることにより、MIPSプロセッサに対応する「VxWorks」などの多くの組み込みOSや開発ツールチェーンをそのまま使用できるようになります。
アルテラ社のエンベデッド・イニシアチブの特徴的なところは、どのプロセッサソリューションを選択してもプロセッサと周辺IP、およびカスタム論理回路を、「Qsys」という1つのシステム統合ツールで開発可能にしている点にあります。さらに、インテル社のAtom E6x5Cの開発もQsysでサポートされます。Qsysは、各IPのインタコネクトとして、アルテラ社のAvalon以外の仕様もサポートしますので、例えば、ARM社のAMBA AXIのインタコネクト仕様で設計済みのIPも効率良く再利用することが可能です。
関連リンク: | |
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⇒ | Qsys ソフトウェア・サポート(アルテラ社Webサイト) |
複数のプロセッサアーキテクチャ、業界標準を含むインタコネクト仕様、それらを共通にサポートするシステム統合ツールがもたらすユーザーの利点は、組み込み機器向けのコンフィギュラブルなプロセッササブシステムのプラットフォーム化です。
幅広いアーキテクチャの選択肢により、ソフトウェア資産と開発環境を再利用することが可能です。また、ハードIPの再利用も促進でき、開発ツールを共通化できるため、開発期間が短縮できます。今後の発表やアップデートにぜひ注目して頂きたいと思います。(次回に続く)
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