ZMP、地震の揺れを多角的に計測するアプリ無償配布9軸センサにより回転や向きの変化の計測も容易に

ZMPは、9軸ワイヤレスモーションセンサ&SDK「e-nuvo IMU-Z」の利用者に対し、地震の揺れを多角的に計測するアプリを無償配布すると発表した

» 2011年03月16日 17時00分 公開
[八木沢篤,@IT MONOist]

東北地方太平洋沖地震について

このたびの大震災で被災された皆さま、ご家族ならびに関係者の皆さまに心からお見舞いを申し上げます。


@IT MONOist編集部一同



 ゼットエムピーは2011年3月16日、同社9軸ワイヤレスモーションセンサ&SDK「e-nuvo IMU-Z」の利用者に対し、建物やエレベーター、設備機器などでの地震による揺れを多角的に計測するアプリケーションを無償配布すると発表した。なお、e-nuvo IMU-Zの新規購入者も無償配布の対象となる。


追記:2011年3月18日

同社は、同アプリケーションの無償配布に加え、利用者が収集・取得したデータの受け付けも開始。これらデータを地震や建築の研究者などが解析できるよう希望者に無償提供するという。また、専用Webサイトを開設し、研究者が自由にデータのダウンロードや解析結果のフィードバックを行えるようにするとのこと。なお、データの利用を希望する際は、同社 計測データ係へ連絡する必要がある(E-Mail: e-nuvo@zmp.co.jp)。



 e-nuvo IMU-Zは、X、Y、Z軸の3方向に生じる加速度を計測する3軸加速度センサに加え、回転速度(角速度)を計測する3軸ジャイロセンサ、地磁気を計測する3軸地磁気センサを搭載している。同製品を計測対象物に設置し、今回提供されるアプリケーションで計測することで、地震による揺れを加速度だけでなく多角的に計測することができるという。

e-nuvo IMU-Z 9軸ワイヤレスモーションセンサ&SDK「e-nuvo IMU-Z」

 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震以降、異なる震源地での地震や余震が続いている状況を受け、同社は同アプリケーションの無償配布を決定。地震による揺れの特性や設置環境との関係性の研究、あるいは揺れを制御するアプリケーションや建築技術の開発など、災害を抑制する技術開発に貢献したいとしている。

計測アプリケーションの概要

 3軸加速度、3軸角速度、3軸地磁気の各センサについて、計測を開始する閾(しきい)値、および計測期間を設定し、その閾値を超えると測定を開始。任意の期間のデータを保存できる。収集したデータは、測定時間とともにCSVファイルで出力され、表計算ソフトなどで確認が可能だ。

計測例

 同社が実施した計測例は次のとおり。

 建物の構造上の影響を極力受けないように、また、微小な揺れを計測するため、フロアの中央付近にe-nuvo IMU-Zを約15センチメートルのひもにて懸架した状態で実際の地震を計測。ジャイロセンサの値では、回転方向の速度の発生が確認できたという(図1)。

ジャイロセンサによる計測例 図1 ジャイロセンサによる計測例

 また、e-nuvo IMU-Zを床に設置し、地震を計測した際の加速度センサの値の変化を図2に、懸架状態にて加振した際の地磁気センサの値の変化を図3に示す。

加速度センサによる計測例地磁気センサによる計測例 図2(左) 加速度センサによる計測例/図3(右) 地磁気センサによる計測例

 なお、同アプリケーションの配布については別途利用者に対し案内を行うとしている(Webサイトからのダウンロードで提供予定)。また、同アプリケーションのPC動作環境は以下のとおりだ(表1)。

メモリ 1Gbyte以上
CPU Core 2 Duo 1.0GHz以上
HDD 約500Mbytesの空き容量
OS Windows XP SP3/Windows Vista SP1/Windows 7
(※64bit OSには未対応)
表1 アプリケーションのPC動作環境

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