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» 2010年09月10日 00時00分 公開

知っておきたいLINの基礎知識 その1車載ネットワーク「LIN」入門(1)(3/3 ページ)

[倉田正人(ベクター・ジャパン),MONOist]
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マスター・スレーブ方式

 LINネットワークは、マスターノードが全体の通信を制御するマスター・スレーブ方式を採用しています。スレーブノードは、マスターノードに従って通信を行います。

 LINノードの役割には、「マスタータスク」と「スレーブタスク」の2種類があります。

  • マスタータスク

 マスターノードのみが持っている役割で、トークンの送信とスケジュールの管理を行います。これは、決められたタイミングでLINバスに送信要求「トークン」を送信します。

  • スレーブタスク

 マスターノードとスレーブノードの両方が持っている役割で「データ」を送信します。データの送信は、マスタータスクから送信されるトークンをスレーブタスクが監視し、データを送信するノードがトークンの後にデータを送信します。つまり、マスターノードからトークンが送信されない限り、各ノードはデータを送信できません。

 LINでは、このトークンとデータで1つの「メッセージ」を構成しています。

マスター・スレーブ方式 図10 マスター・スレーブ方式(※ベクター・ジャパンの資料を基に作成)
※各ノードは、マスターノードから送信されるトークンを監視し、データ送信ノードがトークンの後にデータを送信。また、マスターノードはスレーブタスクを持っているため、データの送信もできる

 LINではトークンを「ヘッダー」、データを「レスポンス」、メッセージを「フレーム」と呼んでいます。ヘッダーには、フレームの意味を表す「ID」と呼ばれる情報を持っており、各ノードはこのIDを監視することでレスポンスを送信するかどうかを識別します。また、LINフレームは「メッセージアドレッシング方式」で送信されるため、1つ、複数、すべてのLINノードがLINフレームを受信できます。

スケジューリング

 マスタータスクは、ヘッダーを送信するタイミングを「LINスケジュール」で定義します。LINスケジュールには送信するIDや送信の順番、送信する時間間隔が定義されています。

 つまり、マスターノードはこのLINスケジュールを使用して、LINネットワーク全体の通信の制御を行います。そのため、LINスケジュールはLINバス上で通信の衝突が発生しないように送信タイミングを定義する必要があります。

 また、LINスケジュールは複数のスケジュールテーブルの定義ができます。つまり、マスターノードは「起動時の初期化モード」「通常モード」「診断モード」など、車両状態の変化に応じてスケジュールの変更を行い、送信IDや送信周期の変更ができます。

LINスケジュール 図11 LINスケジュール(※ベクター・ジャパンの資料を基に作成)
※LINフレーム1では、マスターノードがデータを送信し、スレーブノード3がデータを取得。LINフレーム3では、スレーブノード3がデータを送信し、スレーブノード1、2がデータを受信。LINスケジュールの最後のフレーム(LINフレーム4)を送信すると、最初(LINフレーム1)の送信に戻る

同期方法

 LINノードはコスト削減のため、各信号の通信速度を調整する専用の配線などを使用していません。また、LINスレーブノードのクロック回路もコストを抑えるために、誤差が大きいCR発振やリングオシレーター発振などの使用が許されています。つまり、そのままでは、LINノード間の内部クロックに誤差が生じる可能性があります。

 そこで、LINではこの“クロックの誤差”を補正するために、マスターノードから送信されるヘッダーを使用します。

 LINでは、マスターノードは水晶発振子などの高精度な受動素子の使用が規定されており、その許容誤差は±0.5%です。これにより、マスターノードは正確なクロックの作成ができます。この高性能な内部クロックを持つマスターノードから送信されるヘッダーに、クロック誤差を補正するための「同期信号」を入れることにより、各ノード間のクロック誤差を補正します。なお、LINフレーム(ヘッダー)の構造については、連載第2回で説明する予定です。

 ちなみに、LINではスレーブノードのクロックの許容誤差は±14%(LIN1.3では、±15%)と規定されています。ただし、高精度のクロック回路を使用した場合は、許容誤差±1.5%と規定されています。



 連載第1回では、LINプロトコルの策定の背景やハードウェア、通信方式について説明しました。CANと比較すると簡易的であり、さまざまな部分でコスト削減が図られていることがお分かりいただけたかと思います。

 次回は、「知っておきたいLINの基礎知識 その2」として、LINフレームの構造やネットワークマネジメントなどについて説明します。ご期待ください! (次回に続く)

⇒連載バックナンバーはこちら

【 筆者紹介 】
倉田 正人(くらた まさと) ベクター・ジャパン株式会社 開発ツール部

ベクター・ジャパンの開発ツール部にて、CAN、LIN、FlexRayなどの車載ネットワークに対応した開発ツールやハードウェア・インターフェイスの提供、サポート業務に従事している。

ベクター・ジャパン
http://www.vector-japan.co.jp/
ベクターLINソリューション
http://www.vector-japan.co.jp/vj_lin_solutions_jp.html


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